第10回 患者が行く!研究室訪問 〜国立国際医療研究センター 霜田雅之先生〜(後編)

バイオ人工膵島移植プロジェクトの一環として「細胞加工施設(CPC)」を建設する場所である国立国際医療研究センターで移植方法の開発をされている霜田雅之先生にお話をうかがいました。

前編に引き続き、参加者と先生の質疑応答の様子をご紹介します。

霜田先生の研究内容については研究概要書をご覧ください。

なお、本事業は大塚商会ハートフル基金の助成を受けて開催することができました。

目次

(前編)

(後編)

霜田先生からのメッセージ

IDDMicon 霜田先生の研究を「寄付」で応援する

研究室訪問(後編)

質問コーナー①


Q:日本での同種膵島移植の件数は、世界の先進的なところに比べると相当少ないでしょうか。

A:そうですね。例えばカナダでは保険の効く普通の治療になっているのですけど、そこはもう毎週のようにやっているはずです。

 

Q:ドナーの数について教えてください。

A:日本は本当に少ないです。例えば、僕が昔留学していたアメリカでは、アメリカ全体で脳死ドナーというのは6,000~8,000ほど年間で出ていて、日本の丁度100倍くらいでした。人口が2、3倍なのにドナー数は100倍、桁が2つ違うのです。日本は圧倒的に少なくて、隣の韓国は人口的には3分の1くらいですけど、ドナーの数は数百、出しているので、人口1人当たりだと6倍くらいになります。

日本でもじわじわ増えてはいるのですけれども…。
いたしかたないところもあるのですが、実はアメリカだと年間に多いときだと8,000ドナー出たときに実際に移植されるのは、そのうちの何分の1かなのです。医学的に活きの良い臓器のときだけ移植して、ほかは研究用にまわっています。
日本はとても少ないので、かなり無理して、実際はアメリカであれば移植はしないのではないかなという場合でも、一生懸命頑張って移植しています。

善意でくださっているものなので、もちろん全部使いたいですけれども、やはり現実的には色んな病気になった方や臓器がすでに傷んでいる場合も多いので、クオリティの高いときだけ使うべきだとは思いますが、日本ではそこまで選んでいる余裕がないというのが現状です。それでも日本の医療関係者はすごくて、成績自体は外国とそれほど遜色ないのです。マージナルドナーという風に呼んでいるのですけれども、例えば心臓が停まっている期間が長かった方、年齢の高い方などという場合であっても、移植成績はどの臓器でも遜色ないくらい頑張っているのですが、ただかなり無理をしているのは確かです。

膵島移植に関してはもうひとつどうしようもない問題があって、膵臓移植という臓器移植が他にあります。膵臓移植というのは同じドナーさんから頂いた場合、臓器を丸ごと移植するという方法がありまして、これは日本でも保険の効く普通の診療になっているので、そちらが今は優先されます。膵島移植は膵臓移植で使わなかった膵臓のときに初めてまわってくるのです。そうすると現実的にはだいぶダメージを受けていたりするわけです。それでも今、ある程度の結果は出せていますが、数はあまり増えません。これが数年で何倍にもなるとは思えませんので、ヒト以外の細胞を用いるバイオ人工膵島が必要だと考え、一生懸命研究しているところです。20180412-2

 

Q:医療用ブタが日本でまだ飼育されていないというのは、難しいからですか。

A:今まで需要がなかったので。こういうときにしか使えないので、普段は別に要らないですから。経済的な意味もあります。

 

Q:作ろうとすると1頭あたりのコストは。

A:無菌環境を維持するということに非常にコストがかかるのです。特に初期投資がかかるので、動き出せば、1匹あたりにそれほどかからないと思いますが、建物を建てて、無菌環境にするための整備をするというのが大変で、今まで誰もやっていなかったのです。ニュージーランドのものは会社、政府が投資して、このために作った施設です。

 

Q:先ほど膵臓移植に使えなかったものを膵島でとおっしゃっていましたけど、膵臓移植できなかったというのは状態があまり良くないから結局できなかった、それで膵島のほうにということでしょうか。

A:そのままだと膵臓移植には使えないということなのですが、膵島だったらもしかしたら使えるかもしれないということで。膵島の場合はバラバラにしたあとに、もう一度検査をして、活きが良いか、数が取れたかをもう1回チェックするので、それで基準を満たしたら移植することができます。諦めるにはまだ早いというか、もしかしたらまだ使えるかもしれないというものを分離だけしてですね。今は大体、70%ぐらいですね、日本だと。30%はやっぱり駄目だったということなのですが、70%はちゃんと基準を満たしているわけで、移植できる方がいるわけですから。ドナーの意思も最大限に尊重できますし、移植された患者さんは効果があるということであれば、非常に素晴らしいと思います。

また膵臓移植に使えなかった膵臓というものは、必ずしも質が悪いから駄目だという場合だけではありません。ドナーが太っていて内臓脂肪がいっぱいついている場合、膵臓移植には使いませんが、膵島移植の場合は1回バラバラにするから脂肪は全部なくなるので、むしろたくさん膵島が回収できて良いのです。

 

iPS細胞からつくる人工膵島


我々が今参画している研究のもう一つの柱である、iPS細胞からインスリンを出す人工膵島を作って移植する研究についてご紹介します。

この研究は東京大学の宮島篤先生という有名な先生を代表として、東京大学と当センターが中心になって進めている研究です。

iPS細胞とは、ある種の遺伝子を任意の細胞に強制的に導入したら、受精卵と同じような細胞ができたという非常に画期的な研究です。この細胞は体のほぼあらゆる細胞に人工的に変えることができますし、iPS細胞のままだとずっと無限に増えるのです。ほぼ無限に増えます。当然、膵臓の細胞にすることもできますので、インスリンを出す細胞に変えて、それを移植すれば良いのではないかというのが基本的なコンセプトです。

元々iPS細胞が期待されたのは、自分自身の細胞からiPS細胞をつくり、それをまた自分に移植すれば、拒絶反応が起こらず、かつ欲しい細胞が大量に手に入るという風に考えられたためです。今でももちろんそれは正しいのですが、ただこの方法だと非常にお金がかかるということがだんだん分かってきました。現在では、自分の細胞にこだわらずに品質の高いiPS細胞をストックしておいて、それをみんなに配って移植しようということになっています。その際になるべく拒絶反応が起こらないように、白血球の血液型(HLA)を合わせて、何種類か用意しておいて、それで自分に合ったものを移植するということに、国全体でそういうシステムになっています。我々も京都大学のiPS研究所から細胞を頂いて研究をしています。

膵島移植セット

ドナーのもとに駆け付けるためのセット。時間との闘いなのですぐに持ち出せるように準備されています。

今進めている研究では、iPS細胞を大量に増やしたあと、インスリンを出す細胞に人工的に変え、免疫隔離カプセルを髪の毛のように細長いファイバー状にしたカプセルで包みます。じつは、あまりカプセルを大きくすると中央部の栄養素が足りなくて、膵島細胞が死んでしまうのです。なので、表面からなるべく近いのだけれど、体積を増やすということを両立するためにこういう細長い形にしてあるわけです。これは東京大学の竹内昌治先生という先生が開発されているものです。

ファイバー状のカプセルに入れた膵島細胞をヒトに移植することを目指して、今は動物実験をやっており、かなり良い結果が出てきています。小動物、マウスだと血糖値が正常化するところまでいっています。今は大動物、サルなどを使って実験をしているところです。もう少し改良が必要なのですが、かなり有効だと思っています。

治療方法は患者さんに一番合った治療法を提供したい


糖尿病治療というものは、基本的には内科的治療です。1型糖尿病の方の場合は注射やポンプを使用したインスリン治療、内科的治療が今後も柱となるのは間違いありません。しかし、血糖コントロールの難しい方、向いていない方には細胞治療が力を発揮するのではないかと考えています。特に本日ご紹介した、ブタを使ったバイオ人工膵島、それからiPS細胞の再生医療です。ただ、それぞれ一長一短がありますので、費用や社会的な条件なども含めて、その患者さんに一番合ったものを行っていくということを考えています。

なるべく多くの患者さんが膵島移植を受けられるようにしたいという思いがありますが、ドナー不足や免疫抑制剤を使わないといけないことで、膵島移植を受けられる方は限られています。ヒトからの移植だとどうしてもドナー不足があるため、数が劇的に増えるというわけではありません。そこでバイオ人工膵島、iPS細胞等を使った治療法があれば、多くの方が受けられるようになるのではないかと考えています。特に免疫抑制剤を使わないタイプのものです。今、どれもその方向で研究しているわけですけれども、そうするとかなり安全面が良くなります。移植医療では、移植するその時はもちろん手術、移植による合併症もありますが、基本的にはその後、免疫抑制剤はずっと飲まなければいけません。その副作用や費用がかかるのが一番のネックです。免疫抑制剤を使わずに済めば、その問題がかなり解決されて、非常に安全面が高くなって、コストも下がりますし、多くの方が受けやすくなるのではないかと考えています。

ただカプセルで完全に免疫反応を抑えられるかというとこれはなかなか難しいですが、いくつかの戦略はあります。例えば通常使うような免疫抑制剤の量は使わないけれども、低用量で使うとか、免疫抑制ほどはいかなくても炎症をおさえる薬、リウマチで使っているような薬、そういうものを使うとか。それからどうしても移植した細胞が永久にはもたないということであれば、ある一定の頻度で交換する、カプセルのかたちにしておけば、あとで取り出すことが理論的には可能なので、効かなくなってきたら交換して、そのかたちでずっと使うようにするなどです。いくつかの戦略は考えているところです。

 

最後に


最後ですけれども、当プロジェクトでは主に1型糖尿病の患者さんに対する膵島移植を中心とした移植医療の開発をしています。まず、大きな柱として、ヒトからヒトへの膵島移植と臨床試験を実施、まさにやっていて、これはオールジャパン体制でなるべく早く保険診療化して、数は限られますが必要な方に確実に提供できるようにしたいと考えています。

それからドナー数の問題を解決するために、バイオ人工膵島や再生医療の実現を目指して研究を行っています。ブタとiPS細胞というものが二大柱なのですけれども、現実的にはブタのほうが実現は早いであろうと思っています。すでに外国では経験があり、効果や安全面のデータがあるわけです。例えばこれまで何十人かにバイオ人工膵島というものが外国では移植されているわけなのですが、今のところそれのせいで感染したということは今のところ一例もなく、そういう面では安全性が高い可能性があると言えます。

iPS細胞のほうはまだまったく世界で誰も膵島の移植はしていません。これは全然違う細胞なので、本当に安全かどうかというのはまだ誰も分からない、データがない状態なので、それを動物実験をして、なるべく証明するようにしていくわけですが、期間がかかりハードルが高いのは確かです。

ただiPS細胞のほうはヒトの細胞なので、ヒトのインスリンが分泌されます。ブタの場合はブタのインスリンが分泌されるので、これも一長一短です。ヒトのインスリンとブタのインスリンはたったひとつのアミノ酸が異なるだけで、ヒトにきちんと効くということはすでに分かっています。何十年か前はヒトのインスリンではなくブタのインスリンを治療に使っていた時代も結構長くありました。ただ昔は生成技術が今ほど良くはなくて、アレルギーなどが起きる場合が結構あったのです。おそらくそれはブタのインスリンがというより、不純物が混じっていたというのが大きいのではないかと言われています。今の技術であれば、さほどアレルギーは強くないと思われます。

最終形態としてはですね、どれも一長一短があるので、なるべく良いとこ取りをしたいわけです。例えば、ブタはヒトにないメリットとしては、遺伝子を人工的に変えることができます。ヒトの遺伝子を人工的に変えることは今はできませんが、ブタだったら比較的自由に遺伝子を操作できるので、拒絶反応を抑えるような遺伝子改良、それから例えばより1つの細胞をインスリンを大量に出すような改良も実はできるのです。

あと先ほども言ったのですが、すでに遺伝子に組み込まれているレトロウイルスは今の技術だと全部取り外すことができる可能性があります。一匹一匹処理するのはとても現実的ではないのですが、大元になるブタをやっておいてそれを繁殖させれば、ウイルスがいなくなったブタを作ることができます。それはもちろん何年もかかるので、すぐにという話ではないのですけれど。また、ヒトのインスリンを出すブタというものも作ることができるようになります。それから、一つ一つの遺伝子を操作するのではなくて、ブタの体中でヒトの膵臓を作らせようという研究もあります。ブタの体内で作ったヒトの膵臓から膵島を取ってくれば、それはほぼヒトの膵島なわけです。移植すれば、もちろんヒトのインスリンが出ますし、恐らく拒絶反応も少なくなり、生着率が上がるであろうと予想されます。そういうかたちが良いとこ取りと言いますか、最終形態なのかなと思っています。もちろんそこまでするのは将来の話です。

 

質問コーナー②


Q:先ほど膵島をカプセルに入れて移植するとおっしゃって、いましたがどういう風に取り出すのでしょうか。

A:いくつかカプセルのサイズと形があるのですが、例えば切手くらいで、長いところが大体8cmくらいだったと思いますけれども、それくらいの大きさのものを皮下に皮膚の下、脂肪のあるところに埋め込んでいるのです。これはさすがに場所がなくならないので分かるので、あとで取り出すことができます。ちょっと傷は付きますけれども。真ん中の小さなカプセルは、今まではお腹の中にばら撒いていたのです。どこかに閉じ込めているわけではなくて、腸、肝臓など色々ありますけれど、その表面にばら撒いていたのです。ですので、これは一部を回収することはできるのですが、あとで。全部は、どこに行ったか分からなくなったものもあって、そういうかたちだったのです。ただそれだと安全面などに問題があるのではないかということで、なるべくどこかの一部分にかためて、あとから分かるようにしておいたほうが良いのではないかということで、そういう検討がされています。

ただどういうかたちにするかというのはまだはっきり決まっていないのです。移植する場所もなるべく負担のかからない場所がもちろん良いですし、あとでどこにあるのか分かりやすい場所、それから取り出しやすい場所というようなものもあります。ただそういう場所というのは、今度は生着率が悪かったりもするので、そこも一長一短がありまして、その場所というのは、今まさに検討中ということです。

それから交換するにしても、どのくらいの頻度でというのにもよると思うのです。10年に1回で良いのであれば、それなりに体の奥深くでも良いのかもしれませんが、半年に1回と言われたら、なるべくやはり取り出しやすいところが良いでしょう。

今一番有望視されているのは皮下ですね。特に背中とかあまり動かないところの皮下。もしくは腹腔内のどこか。分かるようにかためておいて、ばら撒くのではなくてですね。腹腔内の例えば、大網という脂肪のかたまりみたいなものがあるのですが、それでお腹の中で袋を作って、その中に閉じ込めておくとか、そういう方法も研究されています。

Q:免疫抑制剤というものはどのような副作用があるのですか。

A:免疫抑制剤というのは、大概1剤ではなくていくつかの薬を組み合わせて飲むことが多く、1剤だけだと効き目が限られるのと、副作用が多くなるので、複数で使って、1つ1つは量を減らして使うというのが一般的なのですが、複数の薬のそれぞれに違った副作用があります。ひとつは感染症に弱くなります。免疫を下げるので、免疫というものは細胞をやっつける機能があるのですが、外から来るバイ菌やウイルスをやっつける機能があるので、それがおちてしまう。とは言っても全く無菌室の中に閉じこもってなければいけないというわけではなくて、ほとんどの場合は大丈夫なのですけど、飲んでいない人に比べると感染症になる確率が増えます。

一番多いのは感染症の確率が上がることと、骨髄抑制と言って白血球、赤血球などが減ってしまう。それも飲む量にかなり依存するのですけれども、そうはならないように飲んでもらうということなのですけれども。あとは薬によって多彩な副作用があります。出た場合は減らすとか薬を変えるとかそういうことで対処しています。使わないにこしたことはないので、副作用が強いのは確かなので、免疫を抑制するということは身体にとっても大変なことで薬もかなり強力です。最近の薬は昔に比べるとだいぶ副作用はなくなっていますけれども、それでもゼロではない。

 

Q:膵島はカプセルで守られているけれども、カプセル自体が異物であるということには変わりはないので、そのカプセルを免疫細胞が攻撃してくるということもあるのですか。

A:非常に良い質問だと思うのですが、それが一番問題です。本来他者の細胞に対する拒絶反応というのはカプセルでかなり防げるのです。それは分かってきているのですが、今度はカプセルに対する異物反応というものが、今、問題になってきています。どんな物質であっても自分の中に元々あるものではないものには身体は異物であると判断するので、どうしても異物反応というものがゼロという物質は今のところ見つかっていません。それを最小にしようという努力はなされています。

 

Q:小玉先生の研究概要書にバイオ人工膵島の写真がありましたが、それではない?

A:小玉先生自身がマイクロカプセルを作っているわけではなく、他のところで作ったものを実験されるか、もしくは移植部位を他のもっといいところをというのを研究されていると思います。

海外で使用されている大きなマクロカプセルの1つでは、異物反応は元々おさえようとしていなくて、何層かになっているのですけど、一番表面がガサガサしていて、むしろ血管をいっぱい呼び寄せてくるような材質でできています。血管がいっぱい入ってくるというのは、異物反応と同じ反応なのです。

炎症反応というものが起こると、線維化というケロイドのようなものができてくるのですが、それと同時に血管を色々なところから引っ張ってきて血管だらけにするのです。そういった反応が同時に起こるので、血管をむしろ呼び寄せます。マイクロカプセルはむしろ血管すら寄せ付けないで、何も近寄ってこないようにするような物質でできています。

ただ、大きなマクロカプセルの場合、どうも血管は来るのだけど、ケロイドみたいなもので被われてしまって、結局、中の細胞が駄目になってしまったのではないかという風に聞いています。改良した第2弾、第3弾を準備しているようですね。

 

Q:バランスが難しいですね。

A:そうですね、良いところまで来ているのですが、まだ課題はあります。大塚製薬工場が持っているディアベセルは確かに、実際に移植して臨床効果が出る、客観的な指標として効果があるというのは本当にすごいと思います。やる価値があるのではないかと考えています。

 

Q:すでに既製品はあるけれども、まだ研究を続けていくというのは、まだデメリットがあるからということですか。

A:改良すればもっと良くなる、逆な見方をすれば、まだ欠点があるということです。それをできるだけ欠点をなくして、良いところをどんどん増やしていくという研究を我々も行っているということです。

 

Q:大塚製薬工場の場合はどこの病院でそれをやっているのですか。

A:先ほどお話ししたのはアルゼンチンで行われた臨床試験のデータです。日本ではまだ誰もやっていません。それをうちでやろうという風に今、頑張っているところです。当然、このデータのときの製品よりももうひとつ改良したものでやろうとしているので。

 

Q:長期生着を妨げているというか、交換しなくてはいけなくなるというのは免疫が外側のカプセルを攻撃するからなのか、それとも栄養が行き渡らずに細胞がいつか死んでしまうということが原因なのか、何が原因でしょうか。

A:はっきり分かってはいないのですが、恐らくその複合、色んな原因があると思います。拒絶反応自体も完璧におさえていないかもしれませんし、中の栄養素が足りない、長期的にはまわりに線維の膜ができてしまうので、そのせいで栄養素が行き渡らない、それが複合ではないかと思います。

 

Q:先ほど言われたようなケロイドみたいなものができて、被われてしまうのですか。

A:元々、生体に優しい物質なので、ケロイドほどひどくはならないのですけど、やっぱり膜ができてしまいます。それをいかに少なくするかということが改良の肝だと思います。

ゴールとしてはインスリンをまったく打たなくても良くするというのが最大目標なので、もっと改良する必要があると思っていますし、かなり良いところまで来ているとは思います。インスリン離脱ができるようになるというのは、移植した細胞から出るインスリンの量を増やすという質の問題、それからなるべく長期で効かせるというスパンの改良の両方です。

 

Q:もし自分が移植を受けてみたいときにはどうしたらよいですか。

A:臨床研究、もしくは治験をするということになれば発表されますので、治験の場合は発表して募集します。臨床研究の場合は必ずしも大々的には公募しないのですが、ホームページには載せると思います。希望される方は、常に網を張っておいてもらえればと思います。膵島移植の世界はそんなに広くないので、例えば膵島移植研究会のホームページや当センターのホームページを常にチェックするとかですかね。

 

Q:何人くらい、ヒトで臨床研究をされるのですか。

A:最初はそれほど多くありません。このアルゼンチンで行われた研究でも4人・4人でした。大体20人前後とかです。臨床試験も幾つかの段階に分かれているのですけれど、最初は少なくて、最後の試験は50人、100人規模になります。

特にブタのほうは2年前くらいから時々ニュースになるので、患者さんからの問い合わせがすごく多いわけではないですけれど、ちょくちょく来て、今はできませんが、やるんだったら自分がやりたいという思いはあります。