バイオ人工膵島移植プロジェクト

バイオ人工膵島移植とは

1型糖尿病根治の方法として膵臓移植や膵島移植が保険診療となっていますが、日本では「ドナー(臓器提供者)」が圧倒的に不足しています。

このドナー不足を解決する方法として考えられているのがバイオ人工膵島移植です。

バイオ人工膵島移植は、無菌室で育てられた医療用ブタの膵島を特殊なカプセルで包み、患者に移植する方法です。

ブタの細胞を用いる理由

インスリンは51個のアミノ酸が結合したタンパク質で、ブタとヒトのインスリンの違いは構成するアミノ酸が1つ異なることだけです。ブタのインスリンが治療に使われていた時代もあるように、ヒトの体内でもブタのインスリンは作用します。

ブタの細胞をヒトに入れることの安全性

バイオ人工膵島移植で用いるブタは、専用の装置を用いて無菌のまま生育されます。厚生労働省は90種類の病原体について検査することを指定していますが、それ以外の病原体も含めて幅広く感染の有無を確認できる方法を確立するために京都府立大学で研究をされています。

さらに詳しく知りたい方へ

バイオ人工膵島移植については、国立国際医療研究センター病院 膵島移植センター センター長/国立国際医療研究センター研究所 膵島移植企業連携プロジェクト プロジェクト長の霜田雅之先生に「研究の最前線」のページで解説をしていただいていますのでそちらもご覧ください。

 

バイオ人工膵島移植


1型糖尿病根治の治療法として期待される「膵島移植」ですが、「ドナー不足」と「免疫抑制剤が必要であること」が課題となっています。その課題を克服するため、大量、安価に入手可能なブタの膵島を特殊なカプセルで封入した「バイオ人工膵島」の開発が進められています。

執筆者
霜田雅之(国立国際医療研究センター病院 膵島移植センター センター長/国立国際医療研究センター研究所 膵島移植企業連携プロジェクト プロジェクト長)
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バイオ人工膵島移植プロジェクト

現在、1型糖尿病の根治実現に最も近いといわれるのがバイオ人工膵島移植です。バイオ人工膵島移植が実現するには、ヒトに移植可能な無菌ブタの飼育、感染症検査方法の確立、移植方法の確立など課題が複数あり、一つの研究機関だけではそれらを解決できません。そのため、複数の研究課題を支援し、各研究機関と企業が協力し合うプロジェクトとして臨床応用を目指しています。

このバイオ人工膵島移植プロジェクトへの研究支援金は、全て1型糖尿病患者・家族や支援者の皆様からいただいた1型糖尿病研究基金へのご寄付と、佐賀県庁へのふるさと納税を財源としています。
ご支援に心より感謝申し上げます。

研究支援の状況

  • 支援件数 29件
  • 支援金額 3億7480万円

以下、これまでに私たちが研究支援を行ったテーマ、研究代表者の皆様です。
※研究代表者の所属機関・役職は、採択時点又は研究概要書の更新時点での情報です。

<2023年度>
テーマ:バイオ人工膵島移植のための国産医療用ブタ製造
研究代表者:松本慎一(一般社団法人医療用ブタ開発機構 代表理事)
助成金:3,480万円(うち130万円は金岩信一基金による助成

テーマ:移植用膵島の「量産化」技術の開発
研究代表者:浅利貞毅(神戸大学大学院医学研究科特命教授)
助成金:1,000万円[佐賀県ふるさと寄附金(令和5年度交付分)]
[2023年10月3日-2024年1月31日ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:移植後の患者の健康維持・安全確保のための検査技術の開発
研究代表者:井上亮(摂南大学農学部応用生物科学科動物機能科学研究室教授)
助成金:1,000万円[佐賀県ふるさと寄附金(令和5年度交付分)]
[2023年10月3日-2024年1月31日ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:移植効率と安全性を確保するための要素技術の開発
研究代表者:小須田南(日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野助教)
助成金:550万円[佐賀県ふるさと寄附金(令和5年度交付分)]
[2023年10月3日-2024年1月31日ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

<2022年度>
テーマ:マクロカプセル化膵島による1型糖尿病治療の研究
研究代表者:祝迫 惠子(同志社大学病態解析研究センター センター長)
      角 昭一郎(同志社大学病態解析研究センター 嘱託研究員)
助成金:250万円[Yahoo!ネット募金]

テーマ:インスリン離脱ができる異種膵島移植法の確立と産業化に向けた生産システムの構築
研究代表者:浅利貞毅(神戸大学大学院医学研究科 特命教授)
助成金:1,300万円[佐賀県ふるさと寄付金(令和4年度交付分) ]
[2022年6月1日~2022年11月30日ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:First in Human=ヒトに初めて投与する段階の治験を開始するために、実験データをもとに治験実施計画書を作成し実行する。
研究代表者:霜田雅之(国立国際医療研究センター 膵島移植企業連携プロジェクト長)
助成金:1,050万円[佐賀県ふるさと寄付金(令和4年度交付分) ]
[2022年6月1日~2022年11月30日ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:ブタ膵島を用いたバイオ人工膵島臨床実用化に向けた前臨床試験
研究代表者:霜田雅之(国立研究開発法人国立国際医療研究センター膵島移植企業連携プロジェクト長)
助成金:3,850万円(金岩信一基金による助成

<2021年度>
テーマ:異種移植用ブタ膵島の機能評価とその改善のための探索的研究
研究代表者:小須田南(日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野助教)
助成金:100万円

テーマ:バイオ人工膵島移植の実現
研究代表者:松本慎一(株式会社ポル・メド・テック取締役、国立国際医療研究センター膵島移植プロジェクト研究アドバイザー)
研究資金:4,000万円(新株予約権付社債[佐賀県ふるさと寄付金(令和元年度、令和3年度交付分)3700万円を含む]

テーマ:「バイオ人工膵島移植」の実用化に向けた研究
研究代表者:松本慎一(国立国際医療研究センター膵島移植プロジェクト研究アドバイザー、株式会社ポル・メド・テック取締役)
賞 金:1,000万円(第3回山田和彦賞

<2020年度>

テーマ:マクロカプセル化膵島による1型糖尿病治療の研究
研究代表者:祝迫惠子(同志社大学生命医科学部医生命システム学科 教授)
角昭一郎(同志社大学生命医科学部医生命システム学科 嘱託講師)
助成金:250万円

<2019年度>

テーマ:臨床応用にむけたバイオ人工膵島の長期生着に関する研究-各施設と複合的な連携体制を目指して-
研究代表者:小玉正太(福岡大学基盤研究機関 再生医学研究所 所長)
助成金:1,000万円[佐賀県ふるさと寄付金(令和元年度交付分)]
[2019年11月1日-2020年1月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:臨床応用を目指したバイオ人工膵島移植の開発-各施設と複合的な連携体制を目指して-
研究代表者:霜田雅之(国立国際医療研究センター研究所 膵島移植プロジェクト長)
助成金:1,000万円[佐賀県ふるさと寄付金(令和元年度交付分)]
[2019年11月1日-2020年1月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:バイオ人工膵島移植実現に向けた感染症検査体制の構築
研究代表者:井上亮(摂南大学農学部応用生物科学科動物機能科学研究室 教授)
助成金:600万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成30年度交付分)]
[2018年2月5日-9月30日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:マクロカプセル化膵島皮下移植システムの研究
研究代表者:角 昭一郎(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 臓器・器官形成応用分野 准教授)
助成金:250万円[Yahoo!ネット募金]

<2018年度>
テーマ:バイオ人工膵島移植実現に向けた感染症検査体制の構築
研究代表者:井上亮(京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室講師)
助成金:400万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成30年度交付分)]
[2018年2月5日-9月30日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:臨床応用にむけたバイオ人工膵島の長期生着に関する研究
研究代表者:小玉正太(福岡大学基盤研究機関 再生医学研究所 所長)
助成金:1,000万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成30年度交付分)]
[2018年2月5日-9月30日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:糖尿病治療用遺伝子改変ブタの開発(継続2年目)
研究代表者:宮川周士(大阪大学大学院医学系研究科 小児成育外科 医局員)
助成金:100万円

<2017年度>

テーマ:糖尿病治療用遺伝子改変ブタの開発
研究代表者:宮川周士(大阪大学医学系研究科准教授)
助成金:100万円

<2016年度>

テーマ:バイオ人工膵島移植実現に向けた感染症検査体制の構築
研究代表者:井上亮(京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室講師)
助成金:1,000万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成28年度交付分)]
[2015年11月20日-12月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:医療用ブタの作製に必須となるオペ室や無菌飼育室の設備整備に関する研究
研究代表者:長嶋比呂志(明治大学農学部生命科学科発生工学研究室教授)
助成金:1,500万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成28年度交付分)]
[2015年11月20日-12月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

メディア情報

テーマ:臨床応用を目指したバイオ人工膵島移植の開発
研究代表者:霜田雅之(国立国際医療研究センター研究所 膵島移植プロジェクト長)
助成金:4,500万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成28年度交付分)]
[2016年4月26日-2017年3月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:医療用ブタの作製に必須となるオペ室や無菌飼育室の設備整備に関する研究(追加)
研究代表者:長嶋比呂志(明治大学農学部生命科学科発生工学研究室教授)
助成金:500万円
メディア情報

テーマ: 糖尿病治療用遺伝子改変ブタの開発
研究代表者:宮川周士(大阪大学小児生育外科臓器移植学 准教授)
助成金:100万円

テーマ:臨床応用を目指したバイオ人工膵島移植の開発
研究代表者:霜田雅之(国立国際医療研究センター研究所 膵島移植プロジェクト長)
助成金:2,500万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成29年度交付分)]
[2016年4月26日-2017年3月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

<2015年度>

テーマ:臨床応用を目指したバイオ人工膵島移植の開発
研究代表者:霜田雅之(国立国際医療研究センター研究所 膵島移植プロジェクト長)
助成金:3,000万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成27年度交付分750万円,平成28年度交付分2,250万円)]
[2015年6月2日-10月21日,11月20日-12月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

テーマ:臨床応用にむけたバイオ人工膵島の長期生着に関する研究
研究代表者:小玉正太(福岡大学基盤研究機関 再生医学研究所 所長)
助成金:2,000万円 [佐賀県ふるさと寄付金(平成27年度交付分750万円,平成28年度交付分1,250万円)]
[2015年6月2日-10月21日,11月20日-12月31日 ふるさとチョイス掲載プロジェクト]

<2010年度>
テーマ:ブタ膵島によるポリビニルアルコール(PVA)マクロカプセル化膵島(MEIs)の研究
研究代表者:角 昭一郎(京都大学再生医科学研究所 准教授)
助成金:100万円

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