日本IDDMネットワークは2026年8月19日、佐賀大学医学部で「夏休み!中高生のための医学部ラボツアー in 佐賀 ~糖尿病予防ワクチンって?~」を開催しました。
今回のラボツアーは、中学生・高校生に医学研究や研究者の仕事に興味を持ってもらい、1型糖尿病研究の最前線を実際に見て、感じてもらうことを目的に企画したものです。
当日は、佐賀県内外から中学生・高校生と保護者の皆さんが参加しました。
訪問したのは、「ウイルス糖尿病予防ワクチン」の開発を目指して研究を進める、佐賀大学医学部の永淵正法先生の研究室。
研究のお話を聞くだけでなく、普段なかなか入ることのできない培養室や実験室を見学し、医学研究の現場を間近で体験しました。
「糖尿病をワクチンで予防する」未来を目指して
糖尿病の中には、ウイルスへの感染がきっかけとなって発症するものがあると考えられています。
その原因の一つとして注目されているのが「コクサッキーB群ウイルス」です。
しかし、どのウイルスが糖尿病の発症に関係しているのかを科学的に証明することは簡単ではなく、それが予防ワクチンの開発を難しくしている理由の一つです。
永淵先生たちはこれまで、ウイルスから体を守る仕組みに関係する「TYK2」という遺伝子が、マウスとヒトに共通してウイルスによる糖尿病のなりやすさに関係していることを、世界に先駆けて報告してきました。
さらに、ヒトのウイルスに感染しやすくなるよう工夫した特別な遺伝子改変マウスの開発にも成功。
こうした研究成果をもとに、糖尿病の原因となるウイルスを科学的根拠に基づいて見つけ出し、将来の「ウイルス糖尿病予防ワクチン」の開発につなげる研究が進められています。

本物の研究室へ!
永淵先生と研究員のラシェダさんから、現在の研究内容を聞いた後は、
P2レベルの培養室や実験室など、実際に研究が行われている場所を見学しました。
参加者は、細胞などを培養するための設備や、研究に使われるさまざまな機器を間近で見ながら、研究者から説明を受けました。

参加した中高生からの声
ラボツアー終了後、参加者からは
「マウスの開発から行われていたことや、佐賀市での研究にバングラデシュからの研究者が参加されていることに驚きました。」「ワクチンが実用化されたら世界中の人が助かると思います。」という感想がありました。
佐賀で行われている研究が世界とつながり、その成果が将来、多くの人の糖尿病の発症を防ぐ可能性があることを感じていただけたようです。
また、当日の様子を取材したNHK佐賀では、参加した1型糖尿病の中学3年生から、
「最近発症して、なぜ発症したのかずっと考えていたのでその原因の一つについて知ることができてよかったです」
という声も紹介されました。
「自分は、なぜ1型糖尿病を発症したのだろう?」
その疑問に研究という視点から触れることも、今回のラボツアーならではの体験となりました。

NHK佐賀にも取材いただきました
当日はNHK佐賀にも取材いただき、ラボツアーの様子が同日のニュースで紹介されました。
永淵先生による研究の説明や、参加者が培養室・実験室を見学する様子などとともに、医学や研究に関心を持つ中高生と、未来の予防ワクチン開発を目指す研究者との交流を取り上げていただきました。
▶ NHK佐賀「“医学研究に興味を持って”佐賀大医学部で中高生がラボツアー」
「なぜ発症する?」から「発症を防げる未来」へ
1型糖尿病の研究というと、「どうすれば治せるのか」という根治の研究を思い浮かべる方が多いと思います。
一方、今回訪問した研究室で取り組んでいるのは、「なぜ発症するのか」を明らかにし、その原因の一つであるウイルスから「発症を防ぐ」未来を目指す研究です。
今回参加した中高生の中には、自分自身の発症の理由を知りたいという思いを持つ人もいれば、研究が実用化されれば「世界中の人が助かる」と、その先にある未来を思い描いた人もいました。
研究室に足を運び、研究者から直接話を聞き、本物の研究現場を見る。
その経験を通して、医学研究を「遠い世界の話」ではなく、自分たちの未来につながるものとして感じてもらえたのではないでしょうか。
日本IDDMネットワークでは、1型糖尿病の「治らない」から「治る」へ、そしていつの日か「発症そのものを防げる」未来=「1型糖尿病の根絶」に向けて、これからも研究を応援するとともに、研究者と患者・家族、そして次の世代をつなぐ機会をつくってまいります。
永淵先生をはじめ佐賀大学医学部の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。







