“日帰りで受けられる膵島移植治療”を目指す「バイオ人工膵島移植」の研究4件に対し、佐賀県庁への“日本IDDMネットワーク指定”ふるさと納税などによる研究助成金(6,030万円)の贈呈式を実施しました。

2024年04月11日

 2024年4月11日(木)、佐賀県庁への日本IDDMネットワーク指定ふるさと納税などによるご寄付を財源とし、“日帰りで受けられる膵島移植治療”を目指す「バイオ人工膵島移植(膵島補充療法)」の研究4件に対し6,030万円の助成金贈呈式を行いました。
 それぞれの研究の代表者である、医療用ブタ開発機構 松本慎一代表理事、神戸大学 浅利貞毅特命教授、摂南大学 井上亮教授、日本大学 小須田南助教にご出席いただき、日本IDDMネットワークからは理事長の井上龍夫が出席いたしました。
左上から、医療用ブタ開発機構 松本慎一代表理事、神戸大学 浅利貞毅特命教授、日本IDDMネットワーク 理事長 井上龍夫、日本大学 小須田南助教、摂南大学 井上亮教授

 

助成金贈呈式の模様は下記よりご覧いただけます。

【助成研究について】
以下4件の研究に助成を行いました。

○研究課題名:バイオ人工膵島移植のための国産医療用ブタ製造
○研究代表者: 松本慎一(まつもと しんいち)一般社団法人医療用ブタ開発機構 代表理事
○助成額:3,480万円
○助成研究の内容:松本慎一代表理事談
ヒト膵島を用いた同種膵島移植は、2020年に保険適応となり、1型糖尿病の新しい治療が確立しましたが、脳死ドナーが少ないこと、また、一生涯免疫抑制剤を飲み続ける必要があるという2つの課題があります。この2つの課題を解決する方法が、医療用ブタからの膵島を免疫隔離膜で保護するバイオ人工膵島の移植です。
バイオ人工膵島移植は、海外ですでに臨床応用され、安全性と有効性のデータが蓄積されていますが、日本には、医療用ブタが存在しないことがハードルになっています。
今回、一般社団法人医療用ブタ開発機構を立ち上げ、医療用ブタを調達することで、日本でのバイオ人工膵島移植が開始できるようにします。
▼研究概要の詳細はこちら
https://japan-iddm.net/wp-content/uploads/grant/report/DrMatsumoto.pdf

○研究課題名:移植用膵島の「量産化」技術の開発
○研究代表者: 浅利 貞毅(あさり さだき)神戸大学大学院医学研究科 特命教授
○助成額:1,000万円
○助成研究の内容:浅利貞毅教授談
ヒトからヒトへの膵島移植は、1型糖尿病治療として2020年に保険適用となりました。しかしながら、臓器提供者不足や生涯に亘る免疫抑制剤の服用という課題により、一般的な治療法として普及するには限界があります。これらの課題を解決するため、我々は、医療用ブタの膵臓から膵島を分離し、膵島に拒絶反応を起こさないよう免疫隔離カプセルに封入したのち移植するバイオ人工膵島移植の研究開発を進めています。膵島分離は手作業で行われていますが、十分量の膵島を効率良く移植できるよう、膵島分離専用AIロボットの開発と分離工程のオートメーション化に取組んでいます。また、神戸医療産業都市において、神戸大学、神戸市および関連企業が連携し、一人でも多くの患者様にこの新しい移植医療を受けていただけるよう医療産業化を目指しています。
▼研究概要の詳細はこちら
https://japan-iddm.net/wp-content/uploads/grant/report/KobeUniv_Asari.pdf

○研究課題名:移植後の患者の健康維持・安全確保のための検査技術の開発
○研究代表者: 井上 亮 (いのうえ りょう)摂南大学農学部応用生物科学科動物機能科学研究室 教授
○助成額:1,000万円
○助成研究の内容:井上亮教授談
我々の研究グループでは、医療用ブタで感染が懸念されるほとんどの病原体に対する検査系を確立しました。この検査法は、「PCR」という技術で、移植後の感染症モニタリングにも活用できます。しかし、移植後に感染症をモニタリングする際の検査試料の第一候補は血液です。実は、膵島ではPCRで感度良く検出できても、血液では、感染が進まないと検出できない病原体も少なくありません。一方、感染した病原体に対してヒトの免疫が作る「抗体」なら、早くに血液でも検出しやすいことがわかっています。そのため、移植後の感染症モニタリングには「抗体」を調べる検査系も必要です。本研究では、ブタ病原体に対するヒトの「抗体」を検査する方法の確立を目指します。
▼研究概要の詳細はこちら
https://japan-iddm.net/wp-content/uploads/grant/report/2024_SetsunanUniv_Inoue.pdf

○研究課題名:移植効率と安全性を確保するための要素技術の開発
○研究代表者: 小須田 南(こすだ みなみ)日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野 助教
○助成額:550万円
○助成研究の内容:小須田南助教談
1型糖尿病の患者さん全員が根治を目指したブタ膵島移植を安全に受けられるように、患者さんが他の病気の治療目的に内服する薬に対する反応など、ブタ膵島の特徴を詳細に解明します。
また、本研究では新生児ブタ膵島も使用しますが、新生児ブタ膵島は1週間程度培養することでインスリン分泌能が高くなります。培養法を改良するとともに、ほぼ均一な大きさに再構成したもの(偽膵島)を作り、効率の良い移植につなげます。
さらに、ブタ膵島の研究を進めるために、ブタインスリン分泌細胞を不死化させて、ブタインスリン分泌細胞株を作り、遺伝子操作を用いた研究を効率的に行えるようにします。
本研究により、1型糖尿病の根治療法であるブタ膵島移植の安全性と質を向上させます。
▼研究概要の詳細はこちら
https://japan-iddm.net/wp-content/uploads/grant/report/2024_NihonUniv_Kosuda.pdf

 

日本IDDMネットワークでは、2005年の1型糖尿病研究基金設立後、研究費助成を行っており、これまで152件8億3216万円(2024年4月現在。本研究助成を含む)の研究費支援を行っています。

今回の研究助成金は、使途を明確にして佐賀県庁へのふるさと納税を募る「ガバメントクラウドファンディング®」や東京マラソン2024チャリティで呼びかけた寄付金とご遺産による「金岩真一基金」の一部を活用しています。

▼本件の「ガバメントクラウドファンディング®」はこちら
https://www.furusato-tax.jp/gcf/2570
▼「東京マラソン2024チャリティ」はこちら
https://japan-iddm.net/news/29730/
▼「金岩信一基金」はこちら
https://japan-iddm.net/support/fund/named_foundation/

引き続き「バイオ人工膵島移植(膵島補充療法)」へのご支援をよろしくお願い申し上げます。

▼「バイオ人工膵島移植ジャパンプロトコール2025基金」へのご寄付はこちらから
https://japan-iddm.net/japanprotocol2025/
▼毎月1000円からのご寄付「移植サポーター」はこちらから
https://readyfor.jp/projects/japanprotocol2025
▼日本IDDMネットワークを指定した佐賀県庁へのふるさと納税はこちらから
https://japan-iddm.net/support/fund/furusato/