被災したらどうする? ~災害時の対処法~

大規模な災害にあった時、みなさんはまず何ができるでしょうか? 
何をしなければならないでしょうか?

ポイント

  • まず落ちつくことが大切です。
  • インスリンや注射器、お薬手帳や保険証などを持ち出せるようにしておきましょう。
  • 災害時でも、1週間程度の備蓄があれば、今すぐ焦る必要はありません。
  • 災害を乗り切るには、「自助7 共助2 公助1」です。
  • 災害時には血糖が日頃より不安定になって当たり前です。災害時の血糖管理は病気にかかった際の方法(シックデイルール)を思い出しましょう。
  • 避難所では一人で悩みや不安を抱え込まず、周りに相談できる人を見つけましょう。

だいじょうぶ! 手だてはあります!!

  1. まずは落ちつこう
  2. ストックは?
  3. 医薬品を1ヵ月分持ち出すことができなかったら…
  4. すぐに医療は受けられないと思っておこう
  5. 自助:基本を思いだそう
  6. 共助:助けあおう
  7. 食事が不規則なら…
  8. 医療器具が入手困難なら
  9. 薬や器具がなくなりそうなら
  10. 避難所での心構え
  11. 避難所での食事
  12. 自宅や私設の避難場所など、公設避難所以外で避難生活を送るなら
  13. 家族や知人と連絡を取る方法

まずは落ちつこう

災害に巻き込まれると、動転して何をして良いかわからなくなります。これは自然なことで、病気の有無にかかわらず、誰もが遭遇することですが、血糖コントロールが大切な1型糖尿病(IDDM)の人にとって、この急激な状況の変化が体調に影響を及ぼすことになります。例えば、血糖が高くなってしまうことが簡単に想像できると思います。

すぐにでもインスリンの心配をしたくなりますが、気が動転している状態で行動しても良い結果は得られず、ますます焦りが募ってしまい体調にもよくありません。まずは身の安全をはかりましょう。とりあえず生命の危機を脱したと感じられれば、気分は落ち着き、結果として血糖値も改善するでしょう。つまり、まず落ちつくことが大切です。

ストックは?

落ち着くことができたら、次に持ち出すことができるインスリンや注射器(ペン型注入器)の状況を確認しましょう。以下に、災害時に持ち出したい品目を記載しておきます。

災害時に持ち出しておきたい品目

  • インスリン
  • お薬手帳・処方せん(コピー可)
  • 保険証
  • 補食(ブドウ糖、パン、せんべいなど)
  • 穿刺針、穿刺器
  • 注射器(ペン型注入器)・注射針・ポンプ
  • 血糖測定器、電極(チップ)
  • 脱脂綿、アルコール
  • 使用済み針入れ
  • メモ帳と筆記具(自分の体調を記録しておくため)
  • その他(合併症や他の症状で必要な薬や器具)

災害が発生した時点で、これらの品目を持ち出せたならひと安心です。では、どの程度の量を確保できれば安心といえるでしょうか?

日常的な医療が再開するまでにどれだけの日数が必要かは災害規模によるので一概には言えませんが、過去の大規模災害を振り返ってみると、どれだけ遅くとも1ヵ月以内には地域の医療機関は日常的な治療(施設が倒壊などで再開できない場合も、代替医療機関への引き継ぎ)が行われます。

つまり、1ヵ月分のインスリンや注射器(注入器)、針、血糖測定器などを確保できたなら、当面は薬のことを心配せず、家や仕事、学校の復旧に専念してかまわないと思われます。

安心目標:1ヵ月分
ただし、環境の変化によってあなたの体調には変化が生じているはずです。ライフラインや交通手段の復旧で主治医の病院に行ける目処がつき次第、診察を受けて現在の体調をしっかり確認・把握することが大切です。

医薬品を1ヵ月分持ち出すことができなかったら…

家屋の倒壊や外出先での被災など、運悪く1ヵ月分持ち出せなかった場合はどうすれば良いでしょうか?持ち出せたインスリン量によって考えておきましょう。

(1) 1週間以上程度は確保できている場合
それだけの医薬品を持ち出せたのなら2,3日は全く問題はないので、今すぐ焦る必要はありません。ほとんどの大規模災害被災地では、3日程度で医療機関は初期の救急救命の状況(外傷患者で手一杯な段階)を脱し、慢性疾患患者、つまりみなさんへの対応もできるようになってきます。また、3日目までには被災地の外から支援が入り始めます。3日程度は手持ちのインスリンで過ごし、主治医の病院に行けるか?連絡がとれるか?状況を確認してください。連絡がとれないようなら、糖尿病外来を行っている近所の病院や日頃通院している病院、なじみの薬局などへの連絡を試して、インスリンが入手できる方法を確保しておき、手持ちのインスリンが3日を切ったら入手するようにしてください。

(2) 3日分程度は確保できている場合
どうすればインスリンを入手できるか、早急に確認しておくことが大切です。主治医のいる病院やかかりつけ薬局など、日頃医薬品を確保しているところに連絡がとれるか、確認してみましょう。もし連絡がとれない、または行くことができない状況なら、近くの同じ病気の仲間に連絡を試み、もし余分があるなら少し譲ってもらいましょう。その他、近所の病院、薬局などにお薬手帳、処方せんのコピーを持って行って病気のことと薬の手持ち量を伝え、インスリンを手配してもらいましょう。今すぐその薬局にインスリンはなくとも、近くの薬局や薬問屋には在庫があると思いますので、入手できないかお願いしてみましょう。近くに病院や薬局がない場合、避難所で開設される救護所(又は巡回で訪れる医療救護班)に依頼しましょう。そのような専門職の方にお願いできない場合は、避難所の管理を担当している行政職員や自治会・自主防災組織の方にお願いして、保健所に状況を伝えてもらいましょう。

(3) 全く持ち出せなかった場合
・どこか、他の場所にインスリンを保管していませんか?
・近くに同じ病気の仲間はいませんか?
・身近な病院や薬局に行くことはできませんか?
処方せんのコピーやお薬手帳など、自分の病気について説明できる資料を持って、インスリンを確保することができないか、安全や自分の体調に注意して、可能ならばそれらの場所をたずねてみましょう。

その際、急激に体を動かして低血糖を起こさないように気をつけてください。できるだけ家族や病気のことを理解している方に付き添ってもらい行動するようにしましょう。

(4) 低血糖昏睡・高血糖昏睡をおこしている状況
できるだけ速やかに医療機関に連れて行ってもらう必要があります。近くの方は、周りの方に手を貸してもらうよう、大声で呼びかけてください。その際、「誰か助けてください」と呼びかけるのではなく、「あなた助けてください」と近くにいる人を指さしてお願いしましょう。そうすることで支援してくれる可能性が高くなります(名指し効果といいます)。地域の自主防災組織などでは高齢者や救急患者搬送用にリアカーを備えているところもあります。

連れて行く医療機関は内科が良いと思われますが、とりあえず近くの医療機関であればどこでもかまいません。低血糖昏睡、又は高血糖昏睡を起こしていることを伝えてもらうためにも、IDカードなどを人目につきやすい所に携帯しておくことが大切です。

すぐに医療は受けられないと思っておこう

災害発生直後(3日間程度)の病院は、重いけが人や命に関わる入院患者の対応で手一杯になります。今すぐ治療しなければ命が失われるという状況にない人、自分の足で歩ける人、意識のしっかりしている人など、一見元気な人は後回しになります。冷たいと感じるかもしれませんが、ひとりでも多くの命を救うための非常時の対応ですので、もしあなたが当面のインスリンを確保できているなら、どうか協力してください。インスリンを確保できているなら、医療機関に行って治療を受けるのは、3日程度我慢してください。あなたの協力で災害直後の医療機関の混乱を少しでも緩和できれば、失われるかもしれない命が救われるのです。

災害時を乗り切るには・・・
自助7 共助2 公助1

大規模災害を乗り切るには「自助(自分でできることは自分で対応する)7割」「共助(周りの人と助けあう)2割」「公助(行政に助けを求める)1割」と言われます。これは、阪神・淡路大震災の教訓から言われていることです。まず自分でできること、そして地域の皆さんに伝えることなどを考えてみてください。

自助:基本を思いだそう

病院に行かずに済ませるためには、血糖値を自分でしっかり管理する必要があります。災害時であっても、血糖管理の基本は「食事・運動・インスリン」この3つのバランスです。
とはいえ、大規模災害時に規則正しいいつもと同じ食事は望めません。災害時の血糖管理は、病気にかかった際の方法に似ています(シックデイルール)。ただし、病気の場合と異なり、自宅の片付けや避難所での共同作業など、いつもと違う運動(労働)が求められることがあることを考慮してください。
また、非常時ですので血糖値はどうしても不安定になってしまいます。そのため体調に不安を感じ、より血糖値が不安定になる、という悪循環に陥ってしまう可能性があります。多少不安定になるのは自然なことです。開き直って、多少高めでもかまわない、というくらいに考えてください。そうやって気持ちを落ち着かせることが、血糖を少しでも安定させる第一歩です。

共助:助けあおう

災害時には自分や家族だけでは乗り越えられない課題もたくさん発生します。例えば、日常は蛇口をひねれば出る水も出なくなり、バケツを持って給水車に水をもらいに行く必要があるかもしれません。水が入ったバケツはかなりの重量になります。これを数百メートルも運んだり、アパートの上の階に持って行ったりするのはかなりの重労働です。避難所に避難したら不特定多数の人目に常に触れています。インスリンを注射(注入)するにも、人目を避ける場所を見つけることすら大変になるかもしれません。

黙っていては誰も助けてくれません
困った時は隠さずに助けを求めましょう

そんな時、ひとりや家族でつらさを抱え込んでいてもストレスがたまり、血糖コントロールは難しくなる一方です。災害時はみんなで支え合いながら乗り越えるものです。自分の困ったことを隠さず、周りの人に助けを求めましょう。意外に思うほど簡単に解決してしまう問題もあるかもしれません。

しかし、病気特有の困りごとなど、病気の経験や知識のない人には伝わらない課題も出てくるでしょう。例えば、災害から時間が経ち救援物資が行き渡るようになると、避難所では食事が多めに配られることもあります。食べ過ぎは血糖管理に悪影響を及ぼすので配ってもらったお弁当の一部を残そうとすると、避難所の管理者に、「災害時は食べられるだけでもありがたいと思え。食べ残しを捨てる場所だって困るんだぞ。」といわれてしまうかもしれません。

平常時なら、ゆっくり時間をかければ理解できる人でも、いざ災害時には自分や家族のことに多くの時間を割かねばならず、あなたのことを理解する時間がもてないかもしれません。そのような状態なので、周りの人に過剰な期待をするのも禁物です。助けてもらえなくても、相手に非があるのではなく、災害時だから仕方がない、と考えましょう。しかし、それだけではあなたの課題は解決しませんね。

近くの同じ病気の仲間や患者会の仲間、
お医者さん、薬剤師さんに相談してみましょう

同じ病気を持っている仲間なら、あなたが何に困っていてどの程度深刻なのか、少し伝えるだけでわかってくれるでしょう。被災地外の遠方にいる人でも、患者会メンバーなど病気の知識や経験が豊富な人と連絡を取ることができたら、あなたの状況を即座に理解して、なんとか支援の手だてを考えてくれるでしょう。

阪神・淡路大震災では、大阪から手持ちのインスリンを届けてもらい災害を乗り切ることができたという方もいたそうです。また、外に連絡を取ることで災害の全体像がわかり気分が少し落ち着く、という効果もあります。

また、お医者さんや看護師さん、薬剤師さんなど医療従事者が近くにいれば、相談にのってもらえるかもしれません。避難所の中に、元看護師という方もいるかもしれません。あきらめずに探してみましょう。そんな時は、避難所の掲示板に張り紙をしてみるのが効果的です。避難所の管理者にお願いして、例えば「高齢の方や障害を持っている方、乳幼児、1型糖尿病(IDDM)などの病気の被災者がいます。介護や看護の経験がある方、いらっしゃいませんか?」等と張り出せば、名乗りを上げてくれる方がいるかもしれません。

それでも同じ病気の人にも連絡がとれず、医療従事者も近くにいなければどうしたらいいでしょうか?あきらめてはいけません。

日頃から名前を知っている人か、あなたが信頼できそうだと感じた人を頼りましょう

ひとりに相談してダメだったから、もうダメだ。そんなことは決してありません。病気のことを伝えるということについても、初めて顔を合わせる人より、日頃からの顔見知りの人の方が、真摯に話に耳を傾けてくれるでしょう。また、まわりを見渡して、誰が信頼できそうか、あなたの目できちんと見極めてみてください。多くのことに気がつき、さりげない配慮をしてくれている人はいませんか?あなたが信頼できそうだ、と思える人を見つけて頼ってみましょう。あなたを支えてくれる人はきっと近くにいるはずです。

食事が不規則なら・・・

被災地では安定した食事はなかなか望めません。1日全く食べられない、ということもあるでしょうし、食事が届いても量が毎回違う、次がいつ届くかわからない。手元に食事が届いても、余震で食事ができずに避難、という状況も考えられます。

基礎分泌のインスリン量は絶対必要 (1日必要量の60~70% 子どもは50%)

仮に全く食事をとることができなくても、インスリンを打たずに済ますのは厳禁です。体内の糖をエネルギーに変えるためにはインスリンが不可欠で、インスリンを絶ってしまうと、最悪の場合ケトアシドーシスによる昏睡症状を起こしてしまいます。基礎分泌量に相当するインスリンは注射(注入)しましょう。その量は、通常一日に打っているインスリンの60~70%(子どもの場合は50%)が目安ですが、具体的な量は主治医の先生と相談しておいてください。

いつ食事がとれるか分からない時は、 低血糖を避けるため血糖は高め(150~200mg/dl)に保つつもりで

災害時であっても血糖値を日頃と同程度に保ちたい、という気持ちはわかりますが、こまめに血糖を測定してインスリンを注射(注入)しても、災害のストレスや不安定な食事、急な運動(労働)などのため、きっと日頃と同じような血糖管理はできないでしょうし、インスリンの打ち過ぎによる低血糖の危険もあります。災害時の血糖値は低血糖を避けるためにも、高めでかまわないと開き直ってください。合併症が気になるかもしれませんが、合併症は数日や数週間程度の時間で発症するものではなく、何年も悪いコントロールを続けた結果発症するものです。災害時にはそれほど気に病む必要はないと思います。日頃からきちんと血糖管理をしておくことで、災害時に多少無理なことをしても体が乗り越えられる力を蓄えることができます。

また、食事のタイミングがわからない時や余震が頻繁に起こっている時は、食べた量に合わせて食事の後にインスリンを打つ方が、低血糖の心配をしなくて済むでしょう。

血糖がさらに高くなったと感じた時に超速効型で抑える

運動(労働)やストレスなどのために体に変調を感じるほど高血糖になったと感じた時は、ノボラピッドやヒューマログといった超速効型を少量注射(注入)して血糖を下げる、モグラ叩きのような要領での血糖管理(病気の際のインスリン処方:シックデイルール)を行いましょう。

規則正しい食事ができるようになったら いつもの打ち方に戻す

ライフラインの復旧が始まり、規則正しい食事ができるようになったら、日頃の打ち方に戻して徐々に血糖を目標の値に近づけるようにしてください。ただし、災害前に比べて復旧作業など運動量が増えている可能性が高いので、少なめに打ちながら様子を見て戻していきましょう。

医療器具が入手困難なら

災害時には医療器具の入手も困難になります。せっかくインスリンがあっても、注射針がなければ打つことはできません。もし、手持ちの針が少なければどうしたらいいでしょうか?

繰り返し同じ針を使う(4~5回)

日頃の指導では注射針は毎回換えるように指導されていると思います。日常的にはもちろんそうすべきですが、災害時で手持ちの針の量が不足気味だったり次にいつ手に入るかわからない、という状況なら、同じ針を数回使い続けるしかありません。注射器(ペン型ペン型注入器)に針をつけたままにしておき、針にキャップをして汚れたり曲がったりしないように注意していれば、繰り返し使うことができます。4,5回使用すると針先が摩耗して刺すのが痛くなりますので、痛くなったら新しい針に交換しましょう。

ただし、同じ注射器(ペン型注入器)・注射針を使って、患者同士で回し打ちをするのは、血液からの感染症にかかる可能性があります。針はもちろんのこと、カートリッジの使い回しも同様です。
インスリンが足りない場合、知り合いの患者同士で譲り合って災害を乗り切る必要も出てくるかもしれません。あなたにインスリンの余裕があるならもちろん困った仲間には分けてあげてほしいと思いますが、あなたが既に使っているインスリンカートリッジを貸すのは厳禁です。注射をした時に、少量の血液がカートリッジの中に逆流します。使いかけのカートリッジを貸し借りすると、感染する可能性があります。

消毒用アルコールがないなら服の上から針を刺す(欧米での方法)

アルコールがなくなってしまったらどうしたらいいでしょうか?欧米でのインスリン自己注射の指導方法では、実はアルコール消毒を行っていません。つまり、アルコール消毒をしなくても、針の傷からバイ菌が入ったりする可能性はそれほど無いようです。アルコールがなければ清潔な水で代用してもかまいませんし、水が貴重で肌の洗浄に使えないなら、きれいな布などで肌を拭いてから打てば大丈夫です。

血糖測定できないなら だいたい」の血糖値を想像して打つ

血糖測定器やチップが無くなってしまうこともあるでしょう。そんな場合は自分の体と相談しながら、「大体このくらい」と想像しながら打つしかありません。日頃から体調や頭の重さと血糖値の関係を覚えておき、自分の体調を感じながら、少なめに打ってみてください。体調が改善しないようならまた少量追加する、という方法で打ってみましょう。

薬や器具がなくなりそうなら

焦る気持ちが出ることは簡単に想像できますが、パニックを起こしても周りの人はあなたが何に困っているのか理解できません。自分のおかれた状況を理解し、周りの人に困っていることを伝えることができれば、必ず手だては見つかります。

避難所での心構え

行政が設置する避難所には必ず行政の担当者がいて、常設、または巡回の医療救護班が回ります。もしあなたが自分の病状について周りの人に伝えたくない場合でも、最低限医療救護班の医師に

  • 自分が1型糖尿病(IDDM)であること
  • インスリン注射(注入)が必須で、現在手持ちのインスリンで何日程度過ごすことができるか
    を伝えておく方が安心です。

医療救護班は基本的に外傷や風邪・ストレス対策などが主で、1型糖尿病(IDDM)について正しい知識を持っている医師がついている訳ではありません。自分の病気について、きちんと説明できるようにしておきましょう。

また、避難所は避難したみんなで助け合いながら運営するものです。当面生活するのに十分な量のインスリンを確保できているなら、体調を考慮しながら積極的にできることをお手伝いしましょう。掲示板のチラシづくりや作業分担表づくり、炊き出しの野菜切りなど、肉体労働以外の仕事もたくさんあります。

避難所でインスリンを保管する冷暗所を確保することは難しいことでしょう。また、誰でも取り出せるところにインスリンを保管するのは良くありません。インスリンは冷蔵庫に保管できなくても数日~十数日で変性することはありません。直射日光や熱にさらされず、あなたや家族の目が常に届き、他の人が触らないようなところ(例えば、自分の着替え等を入れる荷物の中など)にしまっておけばよいと思います。

  • 最低限医療救護班の医師に病気のこと、薬のストック量を伝えておく
  • 予備のインスリンは身近に置けるカバンなどに入れておく
  • すぐ持ち出せるように、インスリン、注射器、針等はポシェットなどを使いできるだけ身につけておく

避難所での食事

避難所で出される食事はパンやお弁当など炭水化物の多いものになりがちです。しかも災害発生直後は食事や水の供給が安定せず、次はいつ届くかわからない、といわれることもあるでしょう。届いたものを多くの人で分け合う必要もあり、食べる量も一定しません。この時期はみんなで我慢して乗り越えるしかありません。いつもよりインスリンの注射(注入)量を少なめにして、食べた分と見合うだけのインスリンを食後に打つ、ということも必要になってきます。

流通が徐々に回復してくると、今度は逆に食事が多めに届くようになってきます(成人男性の食事量を基準にしたお弁当が届くようになっているため)。気兼ねするかもしれませんが、体調管理のためには食べ過ぎは良くありませんから、必要量のみ食べて余分は残すようにしてください。しかし、大規模な被害を受けるとごみ処理もできなくなり、「なるべくごみを出さないでください」という呼びかけがなされます。食べ残しもゴミですから食事を残すことが大変ストレスになってきます。そんな時はひとりで1食もらうのではなく、家族や友人などグループで○食分、という注文をすることで、食べ残しを減らすことができます。ごみを減らし、気兼ねをしなくても済むようにみなさんそれぞれで工夫してください。

避難生活が長くなる場合、災害救助法では避難所に簡単な炊事施設を作っても良いことになっています。避難所にできる自治組織の人たちと協力して、出来合いのお弁当などを届けてもらうという形から、食材のみ手配して、食事は自分たちで作るように切り替えることで、温かい食事を必要な量だけ食べられるようになります。

  • 食べた量に合わせて、食後にインスリンを打つ
  • グループで食事をもらうようにして、食べ残さないで済むようにする

自宅や私設の避難場所など、公設避難所以外で避難生活を送るなら

病気のことやプライバシーの気兼ねから、公設の避難所以外で避難生活を送ることもあるかもしれません。しかし、そう言う場合は残念ながら情報や物資などの入手が後回しにされてしまうことは覚悟してください。災害時には行政機能もそれを担う行政職員も被災します。一人ひとりきめ細かい行政サービスを行うことは不可能です。

また、課題は行政だけではなく、被災者同士の不公平感も根底にあります。

ほかにもペットのことや電話の使い方、消灯時間や掃除など、避難者自身がとても厳しいルールを自分たちに課していたとのことです。

これは何を意味しているかというと、避難所に入った人から見ると、避難所に来ていないあなたは被害を受けなかった人に映り、自分たちが避難所で不自由な生活を強いられているのに自宅で生活できているあなたたちはプライバシーもあって思い通りに生活できるから不公平だ、という印象を抱いてしまうということです。

無論そんなことはなく大変な状況なのですが、お互いに被災して気が立っている状態ですから、避難所に避難せざるを得なかった人たちにあなたの状況を理解してもらうことは至難です。

行政も機能が回復してくれば公設の避難所以外でも追加の避難所指定をして救援物資が届くよう手配してくれるようになりますが、そうなるまでにはかなり時間が必要です。

みなさんの思いとは異なるかもしれませんが、安定した支援を望むなら、ある程度の不自由やストレスを我慢してでも公設の避難所に行くことをおすすめします。どうしても公設避難所での生活が困難な場合は、避難所の担当である行政職員にだけは避難所に入れない正しい理由を告げた上で「○○に避難している。」ことを伝えるようにしてください。私設の避難場所は自己申告しないと行政になかなか気付いてもらえず、支援が届くようになるまでにかかる時間が長くなります。

  • 安定した支援を望むなら多少不便でも公設避難所に行った方がよい
  • どうしても公設避難所に入らないなら、避難している場所を何度も行政職員に伝える

家族や知人と連絡を取る方法

災害用伝言ダイヤル「171」

NTTでは、大規模な災害が発生して電話が輻輳した時には、安否確認手段としての災害伝言ダイヤルサービスを実施します。

この使い方を覚えておくと、災害が発生して電話がつながりにくい時でも、家族や親戚、友人などと連絡を取り合うことができます。

ダイヤル「171」の後に「2」を押して、被災地内の連絡したい相手の電話番号(携帯電話・PHSの電話番号は登録できません)を押します。そうすると、伝言が登録されている場合には、その伝言を聞くことができます(携帯電話・PHSからでも聞くことができます)。

伝言をしたい場合には、「171」の後に「1」を押して、連絡したい相手の電話番号を押すと、30秒間メッセージを録音することができます。合計で最大10件まで登録可能で(災害の規模により10件より少なくなります)、登録内容は48時間で自動的に消えます。

詳しくは、「171」を押した後、ガイダンスが流れますので、これに従ってください。

災害用伝言板サービス(携帯電話のメール伝言板)

携帯電話各社は、伝言板のサービスを実施しています。

貼り紙

家族が離ればなれになって連絡がとれない状態で避難所などに移動する時には、自宅の玄関に避難先や安否の情報を書いた貼り紙を貼っておくと大変有効です。少しずつライフラインが復旧し始めて郵便物の配送などが再開した時も、郵便局員の方が気を利かせて避難所まで郵便物を持ってきてくれることもあったそうです。

遠方の親戚や知人に伝言を頼む

被災地内での連絡が取りにくい場合でも、被災地外の親戚や知人ととりあえず連絡がつくことがあります。そんな時には安否の情報や避難場所を伝言しておくと、間接的に家族や知人と連絡を取り合えることもあります。

テレビやラジオに流してもらう

災害時には、テレビ局やラジオ局が避難生活情報や安否確認情報を流してくれることもあります。それらのサービスを活用して安否を伝えることができるかもしれません。

日本IDDMネットワーク 「1型糖尿病[IDDM]お役立ちマニュアル」PART 3 -災害対応編- より