京都大学にて佐賀県庁への“日本IDDMネットワーク指定”ふるさと納税による研究助成金(2,400万円)の贈呈式を実施しました。
2023年11月13日2023年11月13日(月)、佐賀県庁への日本IDDMネットワーク指定ふるさと納税によるご寄付を財源とし、京都大学iPS細胞研究所 長船健二教授の「ヒト iPS 細胞から次世代型スマート膵島をつくる」に対し研究助成金2,400万円を贈呈しました。
京都大学からは、iPS細胞研究所の髙橋淳所長、長船健二教授が出席され、日本IDDMネットワークからは理事長の井上龍夫が出席いたしました。
■髙橋淳所長から
この度は本研究所への多大なるご支援に感謝申し上げます。
長船教授のグループでは、ヒトiPS細胞を用いて、1型糖尿病の患者さんに対する細胞移植治療目指した研究開発を行っております。
いわゆる基礎研究というものは、研究者にとって未知のものを明らかにする、新しいことを知りたいというモチベーションがあるのですが、医療の研究開発というのはこれとはまた違ったモチベーションが必要となります。
その開発のためにはかなり長い時間、いろいろな乗り越えるべき苦労があり、単純なサイエンスだけの問題ではなく、規制であったりお金の問題であったり、それらを乗り越えるためのモチベーションを持ち続けるために、患者さん、あるいはそれをサポートする方々からの金銭的なことのみならず、期待のお気持ちというものが非常にモチベーションを保ち続ける、開発を続ける意欲につながってきます。
そういった意味で患者様の団体から研究助成をいただけるということは研究者にとって非常にありがたいことです。
長船教授は糖尿病の治療のために日々頑張ってどんどん成果を出しているわけですが、やはり一人だけではそれをすることはなかなか難しいですから、我々iPS細胞研究所として、所全体をあげて彼の研究をサポートしていきたいと思います。 また、他の疾患に対しての研究開発を行っている研究室もあるので、そこで得たいろいろな情報であるとか壁の乗り越え方、そういったことをシェアしながら、彼がより速くより安全にこの糖尿病治療の開発に進めるようにみんなで共に努力していきたいと思っております。
そういった意味で、今日が新しいスタートの日になればいいと思っております。
最後になりましたがこの度は誠にありがとうございました。
【助成研究について】
○研究課題名: ヒト iPS 細胞から次世代型スマート膵島をつくる
○研究代表者: 長船健二 京都大学 iPS細胞研究所 教授
○助成額: 2,400万円
【助成研究の内容】
〇「ヒト iPS 細胞から次世代型スマート膵島をつくる」
今回の研究では世界に先駆けて、iPS 細胞に「遺伝子を導入する」ことで膵島をつくります。
この方法により作製された膵島には、移植後に体内で長く生き延びて血糖値をより強力にコントロールし、移植した膵島を免疫が攻撃しない=免疫抑制剤が不要という強力な機能や性質が加わります。この改良を加えた膵島が「次世代型スマート膵島」です。
作製した「次世代型スマート膵島」を移植に使用することで、より多くの患者に使える 1 型糖尿病の根本的な治療法となります。
この治療法が開発されれば、ドナー不足の問題の解決はもちろんのこと、患者は毎日の注射等によるインスリン補充、低血糖による意識喪失、失明や人工透析などの合併症の心配から解放されます。
【1型糖尿病研究基金】
日本 IDDM ネットワークは、インスリン補充が必要とされる患者とその家族一人ひとりが希望を持って生きられる社会を実現することを目指しています。その当面のゴールは、1型糖尿病を「治らない」病気から「治る」病気にすることですが、究極の目標は“1型糖尿病の根絶(=治療+根絶+予防)”です。
2005 年の1型糖尿病研究基金設立後、これまで 146件 7 億 6,586 万円(本研究助成を含む)の研究費助成を行っています。
【CiRAニュースの記事】
「ヒトiPS細胞から次世代型スマート膵島をつくる」への研究助成贈呈式を行いました
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/231115-170000.html