【第16回】松本慎一先生によるバイオ人工膵島移植の進捗状況

2026年07月31日

 日本でのバイオ人工膵島移植実現に向けて、その進捗状況を、この分野の第一人者である松本慎一先生(日本初の膵島移植医で医療用ブタ開発のために自ら法人まで立ち上げられました)より毎月報告していただいています。
 第16回は、バイオ人工膵島移植研究の現状と今後の展望についてです。
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バイオ人工膵島移植の進捗(第16回)

 今回は、研究の現状、2025年から現在までの経緯、今後の見通しについてご報告します。
 ヒト膵島移植の施設の一つである国立健康危機管理研究機構(JIHS)には、日本IDDMネットワークの支援でブタの細胞加工施設の設備がすでに完成していますので、医療用グレードのブタができれば、人へ移植できるブタ膵島を製造することができます。今後、医療用グレードのブタにおける特定病原体のスクリーニング評価をはじめとする運用面の検証を行い、移植に用いるブタ膵島の製造体制を確立していく計画です。
 ヒトの膵島移植とブタの膵島移植は、再生医療等安全性確保法では、第一種再生医療等という同じカテゴリーに位置づけられています。ただし、異種移植であるブタ膵島移植は、感染症のリスク管理など特有の課題があることから、ヒト膵島移植よりも厳格な審査が求められます。JIHSはヒト膵島移植施設として第一種再生医療等の規制に対応してきた経験があり、その経験を活かしながら、より慎重な手続きを経て臨床応用(人に移植)を目指しています。
 この医療用グレードのブタですが、日本には存在していなかったので、私自身一般社団法人医療用ブタ開発機構を立ち上げ、畜産企業とタッグを組み、医療用ブタを2025年内に作成しました。さらに、医療用グレードのブタから膵臓を摘出し、膵島を分離し、膵島機能の確認を2026年の初頭に行いました。医療用ブタ作成を行った施設の衛生度の確認も行っています。技術的には、臨床応用ができるバイオ人工膵島の作成に成功し、次のステップは、ヒトに移植する前の大動物試験になります。
 一般社団法人医療用ブタ開発機構は、神戸大学の肝胆膵外科内に立ち上げたのですが、2026年に、医療用ブタを作成するプロジェクトを一般社団法人医療用ブタ開発機構から、神戸大学のプロジェクトにするという方針になりました。つまり、一般社団法人医療用ブタ開発機構の代表理事である松本慎一のプロジェクトから、神戸大学客員教授である松本慎一のプロジェクトに変わりました。
 この変更によって、神戸大学からいろいろな援助が得られるというメリットがあります。
 一方で、医療用ブタの作成が神戸大学のプロジェクトになったため、神戸大学と畜産企業、神戸大学と一般社団法人医療用ブタ開発機構、神戸大学とJIHSの新しい契約が必要となりました。現在、この3つの契約をいち早く締結するための交渉を行っています。契約が締結したのちに、すぐに前臨床試験(ヒトに移植する前に動物を用いた医療技術の有効性と安全性を評価する試験)が行えるように、現在、JIHSの霜田先生と一緒に前臨床試験の準備を進めています。

神戸大学大学院医学研究科 客員教授
一般社団法人医療用ブタ開発機構代表理事
松本 慎一

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▼第16回報告記事はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/6850/

▼霜田先生からの最新報告はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/iddm/6843/
これからも、希望する全ての患者がバイオ人工膵島移植を受けられる日を実現するために、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

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