京都大医学部付属病院は4月8日、30代の1型DM患者(女性)に対し、心停止したドナーから提供された膵島移植を実施した。膵島移植の実施はこれが国内で初となる。
京大病院によると、移植を受けた女性は、幼少時に発症した1型DMのため、インスリン強化療法による治療を行っていたが、注射だけでは血糖のコントロールが困難な状態だった。一方、男性ドナーは中部地方の病院で7日未明に病気のため死亡した。直後に男性の膵臓を摘出し京大病院へ搬送、膵臓から膵島組織のみを分離した。7日夜、分離した膵島細胞約35万個を点滴により女性の肝臓へ注入した。術後の経過は安定しており、今後は拒絶反応の抑制と、移植した膵島細胞が生着してインスリンを分泌し血糖が健常者同様に安定した状態にできるかどうかが課題となる。
なお、この移植事例の詳細については京大病院の膵島移植のページ
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~transplant/islet/index.html
を参照のこと。
京大医の倫理委員会は2003年10月、生体膵島移植とともに心停止ドナーからの膵島移植を承認していた。その後、京大移植外科は、膵・膵島移植研究会から、膵島を分離し移植する施設として承認された。さらに2004年1月には心停止の提供者からの膵島分離と凍結保存を初めて行っている。国内では脳死者からの膵島細胞の分離・凍結が5例ある。
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