1型糖尿病の根絶(治療・根治・予防)に向けたロードマップ

1型糖尿病研究基金による「支援課題の位置づけの明確化」と「今後の支援指針の検討」のために、1型糖尿病の「治療」「根治」「予防」の各分野の将来を見通せる「ロードマップ」を策定しました。

このロードマップの策定にあたっては、下記の専門家の方々に助言をいただきました。科学技術の進歩は常に予想を超える速さで進み、特に医療技術については最近のコロナ関係のワクチンや治療薬の開発スピードを見ても驚くばかりです。科学技術の進歩を正確に予測することは難しいですが、今後も専門家の方々の助言をいただきながら、毎年更新してまいります。

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治療分野

治療:現在の治療法の改善により体への負担が軽くなり生活の質が向上すること。

血糖値反応型インスリン(スマートインスリン)製剤:血糖値に応じてインスリンの効きが自動的に調整されるインスリン製剤。経口製剤も開発中。

SMBGの代替となる持続皿糖測定器(CGM):一般的なCGMは1日1回程度、SMBGによる較正(センサー感度の確認 ・ 調節)が必要だが、SMBGの代替となるCGMはその較正が不要であり、SMBGに完全に置き換わり得る。

CSII(バッチ式インスリンポンプ):チューブがなく、ポンプを体に貼り付けておくタイプ。

SAP/AID:CGMとインスリンポンプを組み合わせて行うインスリン補充療法。CGMの情報を使ってインスリン ポンプの注入自動調整することをAID(Automated Insulin Delivery)と呼ぶ。

低血糖自動停止ポンプ:低血糖になることが予測された場合に、自動的にインスリン供給を停止する機能を持つインスリンポンプ。

ハイブリッド自動制御ポンプ:CGMとの連動で基礎インスリンは自動制御されるが、追加インスリンは手動で調節投与するインスリンポンプ。

アドバンスハイブリッド自動制御ポンプ:CGMとの連動で基礎インスリンの自動制御に加えて、高血糖に対する補正インスリンも自動注入される。食事の追加インスリンは手動操作が必要。

完全自動制御ポンプ:CGMとの連動で基礎インスリンと追加インスリンの両方が自動制御されるインスリンポンプ。

低侵襲マイクロニードル型インスリン徐放デバイス(スマー トインスリンバッチ):皮膚に貼り付けたマイクロニードル (極めて細い針)で、血糖値に応じてインスリンを極めてゆっくり放出し続けるデバイス(パッチ型)。

分子標的薬:体の中を動き回り、細胞の内部にあるスイッチを切ることで病気の原因を止める薬。

抗体医薬:病気の原因となる細胞や分子だけをピンポイントで狙う薬。

抗体薬物複合体(次世代抗体医薬):病気の原因となる細胞をピンポイントで見つけ、その細胞の中で薬が効果を発揮させるよう設計された薬。

根治分野

根治:インスリン補充から解放され病気になる前のもとの体に戻ること。

体内再生:体内の細胞に刺激を与えたり遺伝子を直接導入することで、体の中で目的の組織・ 臓器を再生すること。

iPS細胞(人工多能性幹細胞):ヒトの体細胞にいくつかの選伝子を導入し、培養することによって人工的に得られる、あらゆる細胞に分化する能力を持った細胞。

ES細胞(胚性幹細胞):ヒトの受精卵から作成され、あらゆる細胞に分化する能力を持った細胞。

体性幹細胞:ヒトの体の中に存在する幹細胞で、限定した細胞に分化する能力を持った細胞。

非臨床試験:動物や試験管内の細胞を使って、開発した医薬品の有効性、安全性などを調査する試験。

臨床研究:新しい医療の効果をヒトを使って検証する試験・ 研究。「治験」(国から医薬品や医療機器の製造 ・ 販売承認を得るために行う試験)も臨床研究のひとつ。

予防分野

予防:これから新しく発症する患者を無くして1型糖尿病を完全に克服すること。

テプリズマブ:1型糖尿病の発症リスクが高い状態にある膵β細胞機能の低下を抑え、1型糖尿病発症を遅らせる効果が期待されている(2022年11月米国で1型糖尿病向けに承認)。

腸内細菌制御:腸内細菌叢(腸内に共生している細菌)の構成をヒトに近づけたり、免疫抑制能力のある腸内細菌の代謝物を補充したりすることによって、1型糖尿病の発症を抑制することが期待されている。

ご協力いただいた専門家の方々

治療

あべのメディカルクリニック院長 川村 智行
東海大学医学部付属八王子病院 腎内分泌代謝内科 教授 村田 敬
東京科学大学 生体材料工学研究所 教授 三林 浩二
国立がん研究センター 先端医療開発センター 新薬開発分野長 安永 正浩

根治

神戸大学 客員教授 一般社団法人医療用ブタ開発機構代表理事 松本 慎一
国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所 膵島移植企業連携プロジェクト長 霜田 雅之
東北大学病院 臓器移植医療部 准教授  戸子台 和哲
東京科学大学 生命理工学院 教授 粂 昭苑
東京科学大学 総合研究院細胞治療研究室 特任准教授 正木 英樹

予防

佐賀大学 医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科 特任教授 永淵 正法
Boston College,Biology Department Postdoctoral Fellow 三根 敬一朗
千葉大学 未来粘膜ワクチン研究開発シナジー拠点 特任准教授 福井 竜太郎