1型糖尿病の根絶(治療・根治・予防)に向けたロードマップ

1型糖尿病研究基金による「支援課題の位置づけの明確化」と「今後の支援指針の検討」のために、1型糖尿病の「治療」「根治」「予防」の各分野の将来を見通せる「ロードマップ」を策定しました。

このロードマップの策定にあたっては、下記の専門家の方々に助言をいただきました。科学技術の進歩は常に予想を超える速さで進み、特に医療技術については最近のコロナ関係のワクチンや治療薬の開発スピードを見ても驚くばかりです。科学技術の進歩を正確に予測することは難しいですが、今後も専門家の方々の助言をいただきながら、毎年更新してまいります。

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予防分野

予防:新しく発症する患者を無くすこと。

非臨床試験:動物や試験管内の細胞を使って、開発した医薬品の有効性・安全性などを調査する試験。

臨床研究:新しい医療の効果を人を使って検証する試験・研究。「治験」も臨床研究のひとつ。

テプリズマブ:抗体医薬品のひとつ。1型糖尿病の発症高リスク状態にある膵β細胞機能を改善し、1型糖尿病発症を遅らせる効果が期待されている。

根治分野

根治:インスリン補充から解放され病気になる前のもとの体に戻ること


体内再生:体内の細胞に刺激を与えたり遺伝子を直接導入することで、体の中で目的の組織・臓器を再生すること。

iPS細胞(人工多能性幹細胞):ヒトの体細胞にいくつかの遺伝子を導入し、培養することによって人工的に得られる、あらゆる細胞に分化する能力を持った細胞

ES細胞(胚性幹細胞):ヒトの受精卵から作成され、あらゆる細胞に分化する能力を持った細胞。

体性幹細胞:ヒトの体の中に存在する幹細胞で、限定した細胞に分化する能力を持った細胞。

治療分野

治療:現在の治療法の改善により体への負担が軽くなり生活の質が向上すること。


血糖値反応型インスリン製剤:血糖値に応じてインスリンの効きが自動的に調整されるインスリン製剤。

SMBGの代替となる持続血糖測定器(CGM):一般的なCGMは1日1回程度、SMBGによる較正(センサー感度の確認・調節)が必要だが、SMBGの代替となるCGMはその較正が不要であり、SMBGに完全に置き換わり得る。

SAP:CGMとインスリンポンプを組み合わせて行うインスリン補充療法。

低血糖自動停止ポンプ:低血糖になることが予測された場合に、自動的にインスリン供給を停止する機能を持つインスリンポンプ。

ハイブリッド自動制御ポンプ:CGMとの連動で基礎インスリンは自動制御されるが、追加インスリンは手動で調節投与するインスリンポンプ。

完全自動制御ポンプ:CGMとの連動で基礎インスリンと追加インスリンの両方が自動制御されるインスリンポンプ。

低侵襲マイクロニードル型インスリン徐放デバイス:皮膚に取り付けたマイクロニードル(極めて細い針)で、血糖値に応じてインスリンを極めてゆっくり放出し続けるデバイス。

ご協力いただいた専門家の方々

予防

佐賀大学医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科 特任教授 永淵 正法 
佐賀大学医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科 特任助教 三根敬一朗
東京大学医科学研究所感染遺伝学分野 特任准教授 福井竜太郎

根治

国立国際医療研究センター 膵島移植企業連携プロジェクト研究アドバイザー 松本 慎一 
国立国際医療研究センター 膵島移植企業連携プロジェクト長 霜田 雅之
東北大学病院 臓器移植医療部 准教授 戸子台和哲 
東京工業大学 生命理工学院 教授 粂 昭苑 
東京医科歯科大学 高等研究院幹細胞治療研究室プロジェクト助教 正木 英樹 

治療

あべのメディカルクリニック 院長 川村 智行
京都医療センター臨床栄養科長・糖尿病センター 医長 村田 敬 
東京医科歯科大学 生体材料工学研究所教授 三林 浩二