新年のごあいさつ

2019年01月01日

 

認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
理事長 井上龍夫

 

2019年の年頭にあたり、日本IDDMネットワークを代表してご挨拶申し上げます。

昨年の1型糖尿病に関しての大きなニュースとしては「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」の患者数やその診断基準が国の調査研究で明らかになったことです。詳細は以下を参照ください。

平成29年度 厚生労働科学研究補助金 1型糖尿病の実態調査、客観的診断基 準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究

この意義としては、20歳以上の1型糖尿病患者・家族の直接的な支援につながる「指定難病」への可能性を示すものと期待できます。今年の私たちの国への働きかけにも大きな根拠を与えるものになります。

さて、私たちの昨年の活動を振り返りますと、「救う」活動としては、発症初期の1型糖尿病の患者・家族に配布していた「希望のバッグ」に加えて、インスリンが必要とされている2型糖尿病患者・家族向けの「希望のバッグ」の配布にも取り組みました。発症のメカニズムは異なってもインスリンを必要とする糖尿病患者・家族ということでは同じです。私たちのこれまでの経験などを活かして、支援する対象を拡げていきたいと考えています。2回目となった「IDDMこども会議」では、熊本県大津町(地方自治体)と協働し、地域の健康推進のために1型糖尿病の子どもたちから2型糖尿病患者の方への応援メッセージを発信しました。

「つなぐ」活動としては、昨年もカーボカウントセミナー、安全講習会、さらにはサイエンスフォーラムなど患者・家族のみならず医療者の方々も対象とした様々なイベントを開催しました。これらのイベントを通して、毎回新しい仲間との出会いがあり、研究者の方々とのつながりも広がりました。これらは多くのボランティアの方々、そして企業の皆さまからのご支援によって行われています。この場をお借りして関係者の皆さまにお礼を申し上げます。

私たちの究極のゴール「解決」(1型糖尿病の根絶)に向けた研究助成活動でも新しいチャレンジを行いました。そのひとつは我国の1型糖尿病の根絶に向けた研究分野で高い実績があり、さらに今後この分野をけん引していただけるという期待を込めて贈る「山田和彦賞」の制定です。昨年5月、この第1回として京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長に本賞を授与させていただきました。

もうひとつは「資金循環型研究助成」という仕組みをスタートさせたことです。これまでの研究助成は一方的に資金提供を行う形態でしたが、この“循環型”はその研究が将来、収益を生んだ場合には提供額を上限に1型糖尿病研究基金に還元してもらい、それを次の研究助成に活用するという仕組みです。昨年は順天堂大学と徳島大学の研究者に期待を込めてこの循環型研究助成を実施しました。

私たちの研究助成、推進活動には昨年も本当に多くの寄付者の方々に様々な形でご支援いただきました。昨年末時点で、助成累積件数は49件、助成総額で2億5660万円に達しています。これも多くの皆さまのご支援のおかげです。全ての皆さまにあらためてお礼申し上げます。そしてこれらの研究が大きな成果として実を結ぶことを願っています。

私たちが掲げた目標「2025年までの1型糖尿病の根治」のために、そして究極の目標である“根絶”のその日まで、患者・家族を取り巻く社会課題の解決に向けて役職員一同、全力で邁進してまいりますので、本年もさらなるご協力とご参加をよろしくお願いいたします。