【第12回】松本慎一先生によるバイオ人工膵島移植の進捗状況
2026年03月09日日本でのバイオ人工膵島移植実現に向けて、その進捗状況を、この分野の第一人者である松本慎一先生(日本初の膵島移植医で医療用ブタ開発のために自ら法人まで立ち上げられました)より毎月報告していただいています。
第12回は、米国でのカプセル化ブタ膵島(OPF-310)による1型糖尿病の治験についてです。
日本でも、1型糖尿病の治療法を選択できる将来がきっと来ると信じています。
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バイオ人工膵島移植の進捗(第12回)
日本IDDMネットワークとゆかりがある米国の1型糖尿病患者支援団体であるBreakthrough T1DTM( 旧 JDRF)が、米国でのカプセル化ブタ膵島(OPF-310)による1型糖尿病の治験についての解説を公開しました。以下がリンクとなります。
https://www.breakthrought1d.org/news-and-updates/spotlight-on-opf-310-a-porcine-derived-cell-therapy-in-clinical-trials/
主な内容は以下の通りです。
OPF-310細胞はブタの膵島細胞から得られます。このアプローチは、現在開発中の他の細胞治療とは異なります。他の細胞治療は、ヒトの死体ドナーの膵臓から採取されるか、研究室で製造されます。ブタ膵島は、レシピエント(移植を受ける患者)以外の細胞源から採取された他の細胞療法と同様に、移植後に免疫反応を活性化する可能性があります。これを克服するために、OPF-310は膵島を破壊する免疫細胞から保護するカプセル化デバイスを使用しています。つまり、免疫抑制剤は必要ありません。
この人類初の第1/2a相治験(人に初めて投与)の目的は、OPF-310移植の安全性、忍容性、および有効性を評価し、第2相治験(少人数の患者に投与)の推奨用量を決定することです。現在、この試験は米国イリノイ州シカゴにあるイリノイ大学病院・健康科学システム(UI Health)の1施設のみで登録を受け付けています。州外またはUI Healthから100マイル以上離れた場所に居住する適格な参加者には、旅費(航空券、ホテル代、食費など)の払い戻しが受けられます。
治験に参加する方は、研究参加の一環として、移植前後にUI Healthのチームと面談する必要があります。面談内容は以下のとおりです。
〇 手術前の4回の施設訪問による面談
〇 移植後4週間以内の内分泌チームとのフォローアップ面談
〇 移植後1年以内の18回のフォローアップ面談
〇 参加者の生涯にわたる長期フォローアップ面談
これらの面談には、血液検査などの検査が含まれており、研究者はこれらの検査を通じて細胞の機能とインスリン産生の状態を把握し、参加者の継続的な安全を確保します。また、移植後1年間は、研究者が血糖値の変化を追跡できるよう、参加者は2台目の持続血糖測定器(CGM)を使用する必要があります。
すべての新しい治療法や治療と同様に、いくつかのリスクが伴います。特に異種移植の場合、人獣共通感染症(動物から人間に感染する感染症)を発症するリスク、あるいはこれらの感染症を濃厚接触者に感染させるリスクがあります。UI Healthの研究チームにとって、安全性は最優先事項です。これらのリスクを軽減するため、ブタ膵島は移植前に無菌性を確認する検査を受け、参加者は定期的に感染症の検査を受けます。移植部位の感染症など、外科的移植に伴うリスクは、術前の綿密なケアと評価、一流で経験豊富な外科チーム、そして移植後の綿密なモニタリングによって管理されます。
「OPF-310治験は、1型糖尿病の新しい治療法に向けた重要な第一歩です。この治験では、ブタ膵島細胞を用いて、血糖コントロールが困難な方や重度の低血糖に悩む方を支援します」「参加すると、専門家チームがあなたを綿密に監視し、あらゆる段階で指導とサポートを行います。」と、この治験の共同研究者であるベニート・バルデペーニャス氏は説明します。
現在、この治験には3名の方が登録されており、さらに10名が必要です。
チームは皆様のご協力を必要としています。ご自身またはお知り合いの方がOPF-310治験にご興味をお持ちでしたら、研究の詳細をご覧いただくか
https://clinicaltrials.gov/study/NCT06575426
bvalde2@uic.edu までメールでお問い合わせください。バルデペーニャス博士と研究チームにご連絡いただき、参加資格があるかどうかご確認ください。
この治験は私の膵島移植の技術、知識、経験が貢献しており成功を切に願っています。
ヒト膵島移植が多くの国で標準治療となり、ドナー不足を克服するために、ES細胞(全ての組織へ分化する能力を持つ細胞)やiPS細胞(様々な細胞に分化する能力を持つ細胞)や幹細胞(組織損傷の際に新しい細胞を供給する細胞)から作られた膵島の治験が先行していましたが、いよいよ、量産が可能なブタ膵島の治験が本格的に動き始めました。
日本でも医療ブタからの膵島移植の技術が全て確立しています。あとは粛々と進めていく所存です。
「1型糖尿病を発症しました。しばらくはインスリン注射で様子を見ますが、どの細胞治療でこの病気を治すか考えておいてくださいね?」という将来がきっと来ると信じています。
神戸大学大学院医学研究科 客員教授
一般社団法人医療用ブタ開発機構代表理事
松本 慎一
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▼第12回報告記事はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/6749/
▼霜田先生からの最新報告はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/iddm/6751/
これからも、希望する全ての患者がバイオ人工膵島移植を受けられる日を実現するために、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
▼「移植サポーター」1型糖尿病“根治”に向けてご支援ください
https://readyfor.jp/projects/japanprotocol2025
▼”バイオ人工膵島量産化2035”募金のお願い
https://japan-iddm.net/support/fund/mp100/







