【第6回】松本慎一先生によるバイオ人工膵島移植の進捗状況
2025年08月19日バイオ人工膵島移植実現に向けて、その進捗状況を、この分野の第一人者である松本慎一先生(日本初の膵島移植医で医療用ブタ開発のために自ら法人まで立ち上げられました)より毎月報告していただいています。
第6回は、バイオ人工膵島移植の実現に向けた資金獲得の厳しい現状と移植実現に向けて一番大切にしていることについてです。
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バイオ人工膵島移植の進捗(第6回)
松本慎一
今回は、一般社団法人医療用ブタ開発機構で初の医療用に適したブタ完成の報告できると考えていましたが、予定が遅れています。予定が遅れる原因は2つあって、一つは資金、もうひとつは反対者への説得です。
一般社団法人医療用ブタ開発機構は、神戸大学肝胆膵外科内に立ち上げました。医療用のブタを作成するからには、そのブタの膵臓を用いた実験を同時に行う必要があります。
神戸大学肝胆膵外科では、膵島が量産できるように、膵島分離の機械化の実験を続けていますが、昨今の物価上昇もあり、実験の費用の捻出に苦労しています。このため、資金をまず集める必要があります。私は、ミネソタ大学で膵島移植の研究を開始し、その後、ワシントン大学、京都大学、ベイラー大学といわゆる移植の名門大学で研究を行ってきたので、優れた研究プランを提示すれば資金に困ったことは今までありませんでした。地方大学で新しいことをするのは、名門大学とは違った苦労があります。
現在、色々な助成金を申請していますが、申請の審査者には異議を唱えて、助成を阻む人が必ずと言っていいほどいます。私は、ヒト膵島移植を立ち上げ、海外で異種膵島移植を実践してきた経験から、綿密に異種膵島移植を練りまくって計画を立て実施しているのですが、思いもよらないような色々な反対意見があります。時には、反対意見に対して説明の機会が与えられる場合があります。この際、丁寧に説明するというプロセスは重要なのですが、時間と労力は相当かかります。疲弊し、投げ出したくなることもあるのですが、患者さんのことを思い出し、情熱を再燃させ、反対者にとことん付き合っています。
やはり、研究を成就させるのに一番大切なのは、情熱と再認識しています。
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▼第6回報告記事はこちら
https://press-iddm.net/information/6662/
バイオ人工膵島移植の研究を続ける国立健康危機管理機構の霜田雅之先生にも、毎月報告していただいております。合わせてご覧ください。
▼霜田先生からの最新報告はこちら
https://press-iddm.net/information/6659/
これからも、希望する全ての患者がバイオ人工膵島移植を受けられる日を実現するために、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
▼「移植サポーター」1型糖尿病“根治”に向けてご支援ください
https://readyfor.jp/projects/japanprotocol2025