バイオ人工膵島移植(ファーストインヒューマン:人への初めての移植)計画変更のお知らせ

2025年03月25日

このたび、
・材料費高騰等により国産の膵島移植用ブタの誕生が2025年6月まで遅れる見込みとなったこと
・バイオ人工膵島の製造、品質管理に関する開発や大動物実験に関する費用の上昇に伴い、必要な資金が確保できていないこと
・設備や機器のメーカーの人員不足や供給の逼迫や協働している企業との協議にさらに時間を要すること
・国の「異種移植に関する専門委員会」(2025年1月30日設置)による安全性、科学的妥当性、生命倫理等の多角的視点からの評価が追加で必要になったこと
注)再生医療等安全性確保法のもとで実施する異種移植の実施に関する審査にあたって、予備的な評価の場として「異種移植に関する専門委員会」が設置されることになりました。

などの理由で、日本での2025年のバイオ人工膵島移植実現が困難になり、ファーストインヒューマン(最初の人への移植)が遅れる見通しとなりました。
 今回、改めて下記のとおり、変更後のロードマップを作成していただきました。
 先生方は、2025年に何とか間に合わせようと努力されていましたが、最短の場合でも2025年は困難であるとの見解に達して、今回の計画変更をお知らせすることとなりました。
 今後はこのスケジュールをしっかりと先生方と共有し、毎月1回、進捗情報を報告(公表)するようにいたします。
 2025年、日本では実現が困難になりましたが、松本慎一先生の研究成果が日本よりもはやく欧米のどこかで実現することを願っています。その実績をもとに日本での審査がより短期間でスムーズにいくことを願いつつ、世界の1型糖尿病患者とその家族に希望を与えてほしいと思っております。
 このように報告が遅くなったことにお詫び申し上げます。
 しかしながら、患者への安全性を確保したうえで、必ず日本でバイオ人工膵島移植を実現していただくように、研究費支援を続けますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 2025年3月25日
  認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク 理事長 井上龍夫、岩永幸三

 

 今回、このような事情により、日本でのバイオ人工膵島移植実現が遅れることになりました。
 一方で神戸大学のバイオ人工膵島の産業化に向けた取り組みは順調に進んでおり、2035年の希望する全ての患者に日帰りでバイオ人工膵島移植を実現する計画は前倒しできるかもしれません。
 安全性を十分に考慮して、日本での厳しい基準をクリアして、日本でのバイオ人工膵島移植実現に向けてより一層頑張りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 2025年3月25日
  一般社団法人医療用ブタ開発機構代表理事 
  神戸大学大学院医学研究科客員教授  松本慎一

 

 今回の計画変更の発表が遅くなったことに鑑み、私たち3名は、お互いに一層の緊張感をもってチェックしあい、この3名の人生最後の挑戦である1型糖尿病根治の一手法である「バイオ人工膵島移植」を私たちが生きている間に成功するよう全力を尽くします。

 2025年3月25日
 認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
  理事長 井 上 龍 夫
  理事長 岩 永 幸 三 
  理事(バイオ人工膵島移植担当/日本初の膵島移植医) 松 本 慎 一