衆議院で児童福祉法改正案(小児慢性特定疾患治療研究事業の見直し)が可決されました。

2004年11月11日

<児童福祉法改正案(小児慢性特定疾患治療研究事業見直し)審議>

5号 平成16115日(金曜日) 平成十六年十一月五日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      中西 一善君    中山 泰秀君

      原田 令嗣君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    内山  晃君

      大島  敦君    楠田 大蔵君

      小林千代美君    小宮山泰子君

      城島 正光君    園田 康博君

      寺田  学君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      水島 広子君    横路 孝弘君

      米澤  隆君    和田 隆志君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)                                      尾山眞之助君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           瀬上 清貴君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     山際大志郎君

  泉  健太君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     井上 信治君

  楠田 大蔵君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     和田 隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 隆志君     泉  健太君

    ―――――――――――――

○古屋(範)委員(公明党)

 最後になりますけれども、小児慢性特定疾患対策の確立についてお伺いをいたします。

 これまで研究事業として行われてきた小児慢性特定疾患治療が、今回の改正で法的にきちんと位置づけられましたが、このことは、患者の皆様に安定的な制度として改善されたと喜ばれているというふうに思います。この改正に伴い、その対象疾患が四百八十八から五百十疾患に見直され、現在精査中と伺っております。

 私は、この五月、先天性魚鱗癬という病気の患者さんにお会いする機会がございました。この疾患は、皮膚が広範囲に乾燥してひび割れができ、表面が魚のうろこ状のように脱落をしていくという病気でございます。かなり御苦労されておりまして、この病名がつくまでもう何年も、何十カ所の病院にも通うですとか、また、やはり外見的な問題ですとか、水を扱っても痛むというようなことで職業にもつけない、大変御苦労されている方々でございます。

 これは十万人から二十万人に一人という頻度ですので、かなりまれな病気でございます。患者の方々は、生まれて二ヶ月たったころから顔が真っ赤な状態で、病名もわからない、風が吹いても痛む、洋服を脱ぎ着するときも痛む、また、運動などをすると、汗をかけないので体温が非常に上がる。それによって、さまざまないじめに遭ったりですとかいう御苦労をされているのが現状でございます。

 厚生労働省におきましては、平成十四年より、難治性疾患克服研究事業といたしまして、稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究を行っておりまして、私は、この夏、その研究者の一人でいらっしゃいます旭川医科大学の山本明美先生にもお伺いし、さまざまお話を伺ってまいりました。遺伝ということで、また現在治療法が見つかっていない、患者数もほぼ同じ数で推移をしているというようなお話を伺い、やはり生活がかなり大変なので、そういった支援をお願いしたいというようなお話でございました。

 この魚鱗癬という疾患についても少しずつ研究が進んでいると思いますけれども、できればこの小児慢性特定疾患の対象に、ぜひともこの魚鱗癬という疾患を指定いただければというふうに考えておりますが、御見解をお伺いいたします。

○衛藤副大臣 先天性魚鱗癬に関してでございますけれども、御承知のとおり、今、稀少難治性皮膚疾患等に関する研究を行っているところでございます。慢性疾患であることを前提といたしまして、治療方法の確立が強く求められている疾病に関しまして、症状の重さ、もう御承知のとおりでございますけれども、治癒の見通し、それから治療にかかる費用等を総合的に勘案して行うということになっております。

 追加疾患に関しましては、現在精査中でございまして、現段階で確たることを申し上げられないということは残念でございますけれども、ぜひ前向きに検討させていただきたいというふうに考えている次第でございます。

○古屋(範)委員 ぜひとも、またさらなる研究の推進をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○泉(健)委員(民主党)

 時間もなくなってまいりましたが、問題をちょっと移したいと思います。小児慢性特定疾患についてであります。

 実は、私自身も、小さいころからアトピー性皮膚炎の一患者でもあります。これまで国会の中には少なかったかもしれませんが、やはり、若い世代の国会議員もふえてきたということもありまして、徐々に、患者としての我々世代もこれから社会の中でどんどんいろいろな分野に出ていくという状況ができてくると思います。ある意味、人口の一〇%近くが、アレルギーであったり、あるいはアトピーを持っている、ぜんそくを持っている、そういうような状況もありますから、本当に数千万人の方々がこういった問題に対して注目を持っているというふうに思うわけです。

 今回、厚生労働省さんには事前に、この小児慢性特定疾患の中にアトピー性皮膚炎というのは入るんですかという話をしましたら、いや、それは難しい、入らないというお話をいただきました。

 我々からすれば、アトピー性皮膚炎、重大なケースは何百万も治療費をかけているケース、あるいは、僕も一時期そういう時期がありましたが、学校に行きたくても、とてもじゃないけれども行けない、行きたくない、もうこんなに肌がひどかったら外に出歩けない、だれとも会いたくない、そういう状況になってしまう人たちもたくさんいます。要は、社会生活がすべてそこでストップをしてしまう状況というのがあるんですね。例えばそういったところからも問題が長期化する、治療期間が長期化する。私だって、小学生のころから今の今まで、きのうも病院に行ってきましたけれども、やはりなかなかこれを根治する、完治させるというのが非常に難しい話なわけです。

 そういった中で、この対象に含まれないのかなというお話をしてみましたら、以下の三点の理由から、それは難しいという話になりました。一つは、治療がある程度確立をされているということ、そしてもう一つは、治療費がいわゆるこの小児慢性特定疾患に比べると軽費で済むということ、そしてもう一つが、済みません、もう一つちょっと失念をしてしまいましたが、三つの理由があるというふうにお伺いをしました。

 そういったことで、ああそうなのかと思ったわけですが、しかし、やはりいろいろな患者団体に改めて問い合わせをしてみますと、治療費についての調査では、例えばアトピー・ステロイド情報センターというところに私問い合わせてみましたら、患者の中で、対象者が千五百人ぐらいのアンケートをとったわけですが、百万円以上かかるという方が二百人を超えているというデータも出てきております。一年間の治療費が百万円以上かかるという方が二百人を超えているというデータがあるわけです。

 例えばこういったことから見ても、何とかこういったところに支援を差し伸べていただきたいというふうに思うわけですが、この小児慢性特定疾患にはやはりアトピー性皮膚炎、どんな重い症状であっても含めることは難しいということで、確認の答弁をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 今、お話を伺っておりました。

 しかし、今の時点で答えろと言われますと、既にお述べになりましたように、アトピー性皮膚炎につきましては、治療研究の成果により治療法が進歩するとともに普及していること、また、その治療にかかる医療費の負担が必ずしも大きくないことということから、今回見直します対象疾患に追加することは無理でございます、こうお答えせざるを得ません。

○泉(健)委員 その中で、これはレクのときの話なのでどこまで確信を持った話か、あるいは正確な話かという話になるんですが、厚生労働省さんとしては治療モデルというのはある程度確立をされているというふうにお話をいただいたわけですね。

 これについて、確立をされているというのは何を指して言っておられるのかなというふうにして、また私も調べたわけですが、これは、厚生労働省さんが調査研究の委託をされて、そしてその研究をされた研究班が策定をされましたガイドライン、このことについておっしゃられているのかどうか、それについて答弁をいただきたいと思います。

○岡島政府参考人 厚生労働省におきましては、アトピー性皮膚炎対策に関しまして、平成四年度から研究班を設置しまして、いろいろ研究を推進しております。その研究成果に基づきまして、アトピー性皮膚炎治療ガイドラインというものを作成しております。

 これによりますと、個々の患者におきまして判断をする必要がございますけれども、「原因・悪化因子の検索・対策、スキンケア、薬物療法を適切に組み合わせて行う。」ということが規定されておりまして、これが基本的な治療法ということで定められているということになります。

○泉(健)委員 これは、問い合わせをしたときには、厚生労働省としてはやっていませんというお話が返ってきたのを今でも覚えております。要は、研究班がやっていることだから、ガイドラインは出しているけれども、ホームページもあるけれども、これは厚生労働省からのではなくて九州大学の方にリンクをしていただいたらつながるというようなお話をいただきました。

 厚生労働省として、この取り組みというのは省の取り組みなのか、それとも、やはりあくまで研究班というか、厚生労働省ではないところの取り組みなのかというところが問われているような気がします。ここについては、認識としてはどちらで考えればよろしいんでしょうか。

○岡島政府参考人 先生おっしゃられましたように、本ガイドラインは、厚生労働省が行っております厚生労働科学研究の研究費を用いて研究を行いまして、その成果ということでございます。また、その掲載されていますガイドラインにつきましても、ホームページにつきましても、九州大学であるということはおっしゃるとおりでございます。

 ただ、このガイドラインにつきましては、個々の医師が判断するに当たっての基本的な考え方ということで、医学的な判断についてのものでございます。先生が先ほど御質問にございましたように、小児難病指定の基準になるかどうかということは、制度的な判断でまた別のものになるかと思います。

○泉(健)委員 いや、その対象になるかという話はもう先ほど終わっている話でして、要は、こういった取り組みをちゃんと厚生労働省としてやっているんですよと。そして、せっかくつくったガイドラインも、厚生労働省はお金を渡しただけだと言われちゃうと、やはり我々患者としては非常に悲しい気分を、これは気分だけじゃないんですが、悲しく思うわけですね。では、国はアレルギー対策は何をやってくれているんだ、お金だけ渡して、その結果をホームページに載せればそれでいいのかという話になるわけですね。決してそうではない、やはり厚生労働省として、ちゃんとお金を渡し、そして皆さんに呼びかけをしているんだと。

 私は、実はこのガイドラインは、二十数年間患者をやっていますが、一回も見たことはもちろんないわけですね。これのたぐいのものも見たことない。聞いてみたら、この患者向けというものは何部つくったかといったら、千部つくったというわけですよ。どういうことだと。まあ、研究結果で一応患者向けにつくってみましたという話ですから、では厚生労働省さんとしては、今後一般に何十万部とつくる上でのまずは第一作ですというのかもしれません。しかし、もう患者はずっと、長年苦労している患者はたくさんいるけれども、一回もこういった治療に関しての国から何か出てきたものというのは見たことない。では、患者を、ある意味、言葉を選ばなければ、ばかにしないでくださいと言いたいんです。

 このお医者さん用はもうちょっと部数が多いわけですけれども、我々だってやはりこういうものを見たいですよ。今、一つ一つ薬の名前まで我々がちゃんと理解をして、そして自分でつける、どれを選ぶかという時代になっているにもかかわらず、医療機関用と患者用を分けて発行し続けるというのは、私は、これは患者の方の逆に治療をまたおくらせることにもなると思うんですね。やはりしっかりと、もう今の時代、こういった医療情報も公開するという意味で、患者の方にも行き渡らせていただきたいというふうに思うわけです。

 今後の、今まではもうしようがない、今後のこのアトピー対策について、今何か考えられていることがあるかどうか、これは大臣、もしお話しできるようであればお願いいたします。

○尾辻国務大臣 その件につきまして、今私はまだ何も聞いておりませんけれども、今の先生のお話でございますから、この後よく聞いてみたい、こういうふうに思います。

○泉(健)委員 では、それは担当者の方からお願いいたします。

○岡島政府参考人 先生がおっしゃられますように、国民に対して正しい情報を適切に提供していくというのは大変大事なことだというふうに思います。

 私どもも、実は、確かにおっしゃられましたように、パンフレットにつきましては千部しかございませんで、これも研究の一環としてでございますので、量としては大変少のうございますけれども、一方で、先ほどの九州大学のホームページではございますが、ホームページで一般の国民の方にも見られるように情報提供しているところでございます。

 また、研究班の主任研究者にお願いをしまして、アレルギー疾患等に関する相談員、保健所の保健師さんなどが中心になりますけれども、その方たちの養成研修会などにおきまして説明をしていただいていまして、地域の相談にも対応できるようにはしているところでございます。また、研究成果そのものは、これも一般の方もごらんになれますけれども、国立保健医療科学院のデータベース、ホームページにも掲載させていただいているところでございます。

 私ども、患者さん方が病気につきまして理解をされていくということが非常に大事なことだというふうに思いますので、努力してまいりたいというふうに思います。

○泉(健)委員 最後にお伝えしておきますが、確かにホームページの方は、今二十八万件ほどのアクセスがあって、ある意味、非常によく利用されていると思います。でも、ある意味、やはりそれだけ情報を求めている方々がおられて、ホームページを使える人でもそれだけの数がいるというふうに思っていただきたいと思うんですね。

 使えない方々の中には、たくさん悩んでいる人がいる。どうやったらいいんだということで、民間療法に手を出してしまって高額なお金を取られている、いわゆるアトピービジネスというもので苦しんでいる、二重の苦しみを負っている方々もたくさんいる。そういう状況で、研究をずっと続けてこられたのはよくわかった、しかし、そろそろその還元というものをちゃんとやっていただかなければ、いつまでも我々は路頭に迷わざるを得ないということを、最後にお伝えしておきたいと思います。

 この件についても、ぜひとも省の中で、これは花粉症も含めてになりますが、本当にアレルギーというのは非常にたくさんの方々がおられますので、この問題について、研究成果をそろそろ国としてちゃんと出していただくということについてもお願いをしたいと思います。

 それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

    午後四時十五分散会

6号 平成161110日(水曜日) style='letter-spacing:.1pt'>

平成十六年十一月十日(水曜日)

    午前十時四十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      高木  毅君    中西 一善君

      中山 泰秀君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    内山  晃君

      大島  敦君    小林千代美君

      小宮山泰子君    今野  東君

      城島 正光君    園田 康博君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      高木美智代君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第二局長      増田 峯明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)  伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)      小島比登志君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     高木  毅君

  石毛えい子君     今野  東君

  桝屋 敬悟君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     河野 太郎君

  今野  東君     石毛えい子君

  高木美智代君     桝屋 敬悟君

    ―――――――――――――

○水島委員(民主党)

 さて、残りの時間で、小児慢性特定疾患について伺いたいと思います。

 小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者は、全国で十万人を超えると言われておりますけれども、制度改正を適正かつ円滑に行うためには、改正法の成立から法施行までの期間は、最低でも実は五、六カ月が必要ではないかと、地方自治体の方にも伺った結果として私は考えております。

 まず、法律成立後に示される新認定基準に基づいて、行政内部の調整や県の認定基準をつくらなければなりません。また、新しい制度では、対象者の認定方法が従来の外形的な基準とは異なり、重症患者であることを明確にする診断書の提出が必要となります。所得段階に応じた費用徴収制度が導入されるため、所得状況を証明する書類が新たに必要になりますので、十分な周知期間が必要です。周知が十分でないと、患者、家族はもちろん、医療機関や税務署等においても混乱が予想されますし、結果的に、患者、家族が医療機関や行政の申請窓口に何度も足を運ばなければならないような状況になり、患者、家族に大きな負担が生じます。周知期間はやはり一カ月程度は必要だと思います。

 そして、申請の受け付けが開始されますと、小児慢性特定疾患の診断を行っている医療機関は地域においても限られているため、短期間に特定の医療機関、医師に患者が集中することが予想されます。また、診断する医師にとっても初めての重症認定となるため、ふなれなために、診察及び診断書の交付が通常よりもおくれるということが予想されます。申請書を受理して、それを専門の審査会にかける行政側にとっても、初めての重症認定となると時間がかかることが予想されますし、所得段階の認定も加わるため、申請受け付け開始から対象者決定のリミットとなる法施行日までは、三カ月程度の期間が必要だというふうに考えております。

 このように考えてまいりますと、四カ月ではとても間に合わないと思うのですけれども、厚生労働省としては、そのタイムスケジュールをどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○伍藤政府参考人 基本的には、この小児慢性特定疾患事業の見直しは、さきの通常国会に提出をしたときには、十月一日施行ということで御提案を申し上げておりました。通常国会で成立するのは通常五月か六月ぐらいでありますから、それから四カ月ぐらいの準備期間を置いて十月一日施行、こういうことで法案を提出させていただいたわけでございます。

 今回、既に十一月でございますが、これからどういう時期に施行できるかということで、今、るる御紹介、御指摘がございましたいろいろな各種の事業が必要になるわけでございまして、特に都道府県で重要なスケジュールといたしましては、電算処理システムの修正というようなものが意外と事務的には大きなわけでございまして、これがやはり三カ月ぐらいかかる。それから、今言いました所得の確認、それの認定、それから医療機関との委託契約、そういったものも当然必要になるわけでありますが、こういったことを並行して進めながら、二カ月から三カ月程度で、かなりこれは集中的にやってでございますが、何とか事務処理できるのではないか、そういうふうに想定しているところでございます。

○水島委員 ぜひ、行政の中で急いでいただく部分はもうできるだけ急いでいただきたいと思っておりますけれども、実際に法の施行日までに認定事務が完了しなかった方については、仮に法施行日以降に認定されたという場合には、申請日から認定決定日までの医療費が償還払いという形になるのだと思います。そうなりますと、患者さんや御家族に償還払い申請手続等の負担がかかるということになると思います。

 本来は、患者さんや御家族の手間や医療機関の混乱などを考えれば、ぜひ十分な準備期間をとって施行というふうにしていただきたいと思うわけですけれども、そうはいっても、自治体によって作業のスピードには差があると思いますので、償還払いとならざるを得ないケースも出てくると思います。でも、お子さんの治療に通いながら生計を立てるというのはただでさえ大変なことですし、その上、手続などで何度も足を運ばなければならないということになりますと、母子家庭などでは致命的なことにすらなりかねないわけです。

 ですから、償還払いが仮に避けられないというような場合には、その手続を限りなく簡略にしていただきたいのです。例えば、認定されて受給者証が送られてくる場合、そこに償還払い用の書類が同封されていて、振り込み先の口座を書いて判こを押して送れば、自動的に償還払いが行われるというような仕組みを工夫していただきたいと思いますけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 今般の制度改正による各自治体における認定事務の詳細につきましては、通知で定めることといたしております。

 そこで、施行までに認定事務が終わらず、今お話しのように償還払いとなるところが出てくる自治体がある場合には、実施主体となる自治体からの御意見も伺いながら、保護者が都道府県等に請求する償還払いの手続に関しては、保護者が必要書類を都道府県等に持参することなく、郵送によることも可能とするなど、保護者の手間を省きたいと考えておるところでございます。

○水島委員 ぜひよろしくお願いします。私も病院で働いておりましたので、こういう書類関係の手続が本当に大変だというのはよく存じておりますので、ぜひその点については、くれぐれも御配慮をいただきたいと思っております。

 また、今回の制度なんですけれども、自己負担のあり方についても疑問が残るところがございます。例えば、伺いましたところ、確定診断に至るまでの検査費用は遡及して公費負担とはしないというふうに伺っておりますけれども、この点について確認させていただきたいのと、また、今度の新しい制度では、重症度診断が必要になるため、検査における自己負担も重くなると私は思っておりますので、今まで以上の配慮が本来は必要なのではないかと思います。

 特に、今回、私たち、ずっと虐待についての審議をしてきているわけでございますが、親に虐待傾向がある場合、お金がかかるから子供に検査も受けさせないということもあり得ると思います。本来、それを説得する小児科医の立場に立ってみれば、後でお金が返ってくるから検査は受けておいた方がいいよと言えば、この制度に乗せていくことができるわけですけれども、それが結局お金も返ってこないということになりますと、子供を虐待するような親の場合に、その検査費用を出さないということもあり得るわけです。

 そういうようなことも考えますと、本来は、確定診断のために必要だった検査費用というのは、私は公費負担とすべき性質のものだと思いますけれども、この点については大臣はいかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 今般新たに設定いたします重症者の認定基準については、疾患の特異性に応じ、症状、検査値、治療内容等による簡便な基準を設けるものでございます。これらは、通常、診断名を確定するために最低限必要な検査でありまして、ごく一部を除いて、これまで以上に検査がふえるものではございません。

 また、検査費用についてのこともございましたけれども、大きな負担をもたらすものではないと考えております。

○水島委員 多分、大臣がお持ちの原稿にはそう書いてあるんだと思うんですけれども、先ほど申しましたように、とにかく今、虐待というテーマを同時に扱っているわけであって、そういう親がこんなにたくさんいますという前提で話している中で、子供にお金をかけて検査を受けさせて、子供に最適な医療を受けさせるような、すべての親がそんな親であれば、また虐待の議論は必要なくなるということもあるわけですから、その二つ、全く切り離して考えるのではなくて、やはり、そんな親に対しても小児科医が、でもお金がかからないから検査を受けましょうよというふうに説得できるような、そういう材料を与えていただきたいと思うわけでございます。

 この制度に乗らなければ子供はちゃんと適正な医療を受けられないということにもなってしまいますので、大臣の用意されてきた答弁書はそういうことなんだと思うんですけれども、ぜひこれは尾辻大臣に改めてきちんと考えていただきたいと思っておりますし、大臣なら御理解いただけると思っております。

 今言ったようなことも含めまして、自己負担のあり方ですとか、また対象となる疾患につきましては、今回全く新しい制度でございますので、見直しが必要になってくると思います。当事者の声もきちんと反映された見直しというものを今後していただきたいと思っているんですけれども、この見直しについて、現在大体こんな予定がありますとか、こういうふうにやっていきたいですとか、何かそういうことを御答弁いただけますでしょうか。

○尾辻国務大臣 今般の小児慢性特定疾患対策の見直しは、そのあり方に関する専門家、患者代表等による御論議を踏まえ、法整備を含めた制度の改善、重点化を行い、安定的な制度として、新たな小児慢性特定疾患対策の確立を図るものでございます。

 本事業の今後の見直しにつきましては、本事業の実施状況を見ながら、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。

○水島委員 ぜひきちんと見直しをしていただきたいと思っております。

 また、今回、施行が、恐らく春の施行というふうになると思いますので、その場合には、前々年の所得に基づいて最初の計算が行われることになると思います。本来、制度としては前年の所得に基づいてやるものだと思いますので、その辺についても、また償還払いですとか新たな手続とか、そういうことが必要になり得ると思いますので、先ほどお願いを申し上げました趣旨に基づいて、手続は限りなく簡単なものにしていただけますように、改めてお願いいたします。

 

○山口(富)委員(日本共産党)

 最後に、ちょっと時間が押し迫ったものですから一点だけなんですが、小児慢性特定疾患の問題なんです。

 今度の法改正で、これは二十一条の九の二にかかわるわけですけれども、対象疾患の追加、対象年齢の引き上げという改善面があるんですが、同時に、新たに医学的基準を設定して、制度の対象から外したり、医療費の自己負担増の患者が生まれるという仕組みに現状はなります。

 そこで確認したいんですが、この制度が生まれますと、これに新たに加わる対象者、それから除外される方々、それぞれどの程度の規模になるのか、それからまた、医療費の自己負担の影響額はそれぞれどの程度見込まれているのか、答弁願います。

○伍藤政府参考人 今回の新たな小児慢性特定疾患治療研究事業、これの対象者でございますが、今回、対象疾患の追加あるいは除外、それから従来通院が対象でなかったものをそこも拡大する、それから年齢を十八歳から二十歳に延長する、いろいろな改善点が含まれておりますので、それを総体として、重点化するところは今最終的な精査をしているところでありますから、まだ正確な人数は確定しておりませんが、その入り繰りを差し引いて、全体としては数千人、この対象者が増加をするというふうに考えております。

 それから、今回対象となる人の負担の問題でありますが、他制度、公費負担医療等との並びで新たに自己負担をいただきたいということで制度設計を考えておりますが、低所得者等に配慮いたしまして、一番高い階層でも、一カ月当たり外来で五千円程度、入院で一万円程度、こういった自己負担を無理のない範囲でお願いをしたいというふうに考えているところでございます。

○山口(富)委員 難病のお子さんを抱えている家庭というのは本当に大変なんですね。そういう方々にどの程度の影響が出るのかというと、私は、行政上の言葉ですけれども、精査中というのは、これはいただけない。やはり、それでプラスマイナスすると数千人規模というんでしょう。今でも十万人ですからね、この対象になっている方々は。

 ですから、数千人ということで一くくりするんじゃなくて、やはりきちんと、どういう影響が生まれるのか、それに対して、自己負担が生まれる人たちに対してはどういう軽減の措置をとるのか、これは真剣に検討していただきたい。

 私どもは、この制度につきましては、自己負担を本来求めるべきでない、非常につらい中で子供を応援している家庭に対して医療費の給付をきちんとやるべきだという立場で、これは修正案を提案いたしますけれども、きょうは時間がなくなりましたのでこれで私の質問を終わりますけれども、やはり難病患者自身、また抱えている家族の皆さんには、治療が長期間継続するわけですから、自己負担を、新たな負担をかけるべきでないということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 

○阿部委員(社会民主党・市民連合)

 次に、小児慢性特定疾患に移らせていただきます。

 小児慢性特定疾患は、今回、法的な根拠を持つことになって、その点では一歩前進ですが、先ほどの山口委員の御質疑にもありましたが、親御さんの負担という新たな問題が生じてまいりました。

 そこで、皆さんのお手元に配らせていただきました資料がございます。これは、この間の我が国における常用雇用者、今、フリーターとか、あるいは非正規労働と言われるような働き方も三十代の世代にもふえておりますが、そうではなく、一応、常用雇用としてボーナスも含めて受け取っている世代の常用雇用者の賃金の、年間の総額の税込みの数値の推移でございます。

 ここでよく見ていただきたいのは、四十歳代、三十歳代ともに、二〇〇一年から総額ががくんがくんと落ちておりまして、三十歳代で四百九十五万ですね、それから四十歳代では五百八十五万という数値になります。これは、厚生労働省の資料の賃金構造基本統計調査報告より抜粋してつくらせていただきました。

 さて、ここで尾辻大臣に伺いたいと思いますが、今、この小児慢性特定疾患を、親御さんの負担、最大でも入院一万円、外来五千円にしようという案で、他の疾患に比べれば配慮したとおっしゃるんですが、しかし、小児慢性特定は、大体一歳から十八歳までとか、ずっと親御さんは続くわけです。そうすると、収入はこのように年次的に見れば、今、不景気の影響、雇用情勢の悪化等々いろいろある中で、ちゃんと正規雇用で働いていてもこういうふうに落ちている。これがこの世代に加える負荷というものを、どのように厚生労働省が考えておられるか。とにかく時間が長いのです、ほかの疾患と違って。この点について大臣はどのようにお考えであるか、一問目、お願いいたします。

○尾辻国務大臣 今回この仕組みを考えますときに、私どもが考えましたことは、やはり、どうしても他の公費負担医療との均衡、いろいろございますから、いろいろ自己負担いただいている、その、他のものとの均衡というのはどうしても考慮せざるを得ないと思います。このことを考慮しながら、子育て家庭の大変さはよくわかっておりますから、その家計への負担もさらに考慮し、私どもとしてはできるだけ無理のない範囲でお願いをしたい、患者負担を導入したいと考えて、この仕組みにしたつもりでございます。

○阿部委員 やはり今の国の少子化対策、少子化というものは、もちろん親の世代の負担がどのように軽減されるか、働き方がどのように安定するか、そして、まして障害のある、あるいは御病気のある子供を育ててくれている親御さんたちは、逆の意味でいえば、本当に頑張っているねという形で国がもっと積極的に支援しても、私は間違ってはいないだろうと思うのです。

 今回、このような経済状況下で負担を加えたということは、よくよく厚生労働省としても自覚していただきたいし、また、この家庭がさらに、御病気の子を抱えて、収入的にもお父さんも残業とかできなくなるとかいろいろなことがあって、負担が強いわけですから、今後も十分な目配りをしていただきたい。

 今後のことに関係して言えば、今まで慢性特定疾患の子供たちは、入院しても食費というものの負担もございませんでした。今回のこの法の位置づけの中で、食費についてはどのように扱われるのかについて、お願いいたします。

○伍藤政府参考人 現行の小児慢性事業におきましても、入院時食事療養費は医療の給付の一部として給付の対象としておるところでございますが、今回の制度改正におきましても、これまでと同様、給付の対象にしていくということにしております。

○阿部委員 このごろの国の政策の中では、食事はあなたが食べているんだからあなたが払いなさいと、簡単に言えばこういう政策が非常に多うございますから、これは食費も含めて上限が一万円、外来は五千円だということで、これは私は心からは賛成しませんが、まだ暫定策として、とりあえずの了承をしておるという立場です。

 そして、もう一つ言わせていただければ、入院と外来両方になったらどうなるのと言ったら、一万円と五千円両方ですというお答えでした。やはり、これもいかがなものかと思います。今後、ぜひ検討していただきたい。

 実は、同じ御病気で御兄弟がいて、二人目からどうなるのと聞きましたら、お二人目は一人目の十分の一だというお答えでした。それくらい割引してもらわないと子育て世代はやれないなと思いますが、入院、外来割引というのもぜひ検討していただきたい。これは今後の推移を見てかと思いますが、その点についてお願いいたします。

○伍藤政府参考人 御指摘のありましたとおり、児童が二人いる場合には、二人目の児童については十分の一にするというような減額制度を設けることにしておりますが、同一月に入院と外来があった場合、これは診療単位が、今、別というような事務的な扱いになっておりますから、他の公費負担医療制度も参考にいたしましたが、そのような扱いになっておりますので、今回はこれは別々に徴収するとしたわけでございます。

 御指摘の趣旨はよく踏まえて、研究したいと思っております。

○阿部委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○鴨下委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

○鴨下委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案及び山口富男君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。水島広子君。

    ―――――――――――――

 児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

○水島委員 ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、市町村は、この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるとともに、当該事務に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならないものとすること。

 第二に、児童福祉施設への入所措置の更新について、当該措置に係る保護者に対する指導措置の効果等に照らし判断する旨を加え、更新に際しては、指導措置の効果や児童の心身の状態等を考慮することを明確化すること。

 第三に、原案において平成十六年十月一日としている児童自立生活援助事業における就業の支援等に関する規定等の施行期日を平成十七年一月一日に、慢性疾患児童の健全な育成を図るための措置に関する規定の施行期日を平成十七年四月一日にそれぞれ改めるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○鴨下委員長 次に、山口富男君。

    ―――――――――――――

 児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

○山口(富)委員 児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表して、提案の趣旨及び理由を説明いたします。

 本法案は、児童相談の窓口や児童相談所の拡大、児童福祉施設の年齢要件の緩和、虐待防止に対する家庭裁判所の関与の強化など、虐待の早期発見を中心に、子供を虐待から守る施策の充実を図るものです。

 同時に、小児慢性特定疾患については、医療給付の創設、対象疾患や対象者、給付範囲の拡大など前進面はありますが、現在の医療給付の対象が医学的基準を理由に給付を狭められること、医療費の自己負担制度が導入されることなど、小児難病の患者、家族の長期にわたる経済的負担に配慮すれば容認できない内容が含まれています。本修正案はこの点を正すものです。

 また、里親などの懲戒権の容認は国際的に見てもおくれた規定であり、虐待を合理化する際の理由づけともなるものです。さらに、保育料の収納事務を私人に委託できるとする規定も、保育の民営化に拍車をかけるものとなり、これらをあわせて削除しようとするのが、本修正案の内容です。

 以上、提案趣旨とその理由の説明といたします。

○鴨下委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、山口富男君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。

○尾辻国務大臣 衆議院議員山口富男君提出の児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

○鴨下委員長 これより本案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百五十九回国会、内閣提出、児童福祉法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、山口富男君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○鴨下委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、大村秀章君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○鴨下委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○鴨下委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

○鴨下委員長 この際、本案に対し、大村秀章君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大村秀章君。

○大村委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    児童福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 児童福祉司等専門職員の資質の向上と配置基準の見直し等を行うなど児童相談所及び市町村の体制の拡充を図ること。

 二 子どもたちに良好な家庭的環境を与えるために、職員の拡充、施設のホーム化等児童養護施設の改善に取り組むこと。

 三 児童福祉に関する家庭裁判所の機能の強化に向けての取り組みを進めること。

 四 保護者に指導措置を受けさせるための勧告が、実際にどのように機能したのかを検証すること。また、指導措置の内容について専門的・学術的観点からの研究をさらに進めること。

 五 国及び地方自治体における関係機関の連携強化を図るとともに、民間団体、NPOとの一層の連携を図ること。

 六 里親制度を発展させるための支援を強化すること。また、虐待を受けた者に対して適切かつ多様な支援を行うために、自立援助ホームの充実強化に取り組むこと。

 七 保護者への指導・支援のあり方、虐待事件の検証結果などが地方自治体にきちんと周知徹底されるよう連携・指導に努めること。

 八 小児慢性特定疾患については、子どもに治療を受けさせながら生計を立てているという保護者の立場を理解しつつ、子どもに対して最適な医療を提供するという制度の趣旨を踏まえ、制度のあり方等について検討を続けるとともに、手続きなどの負担をできる限り軽減すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○鴨下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣。

○尾辻国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

    午後五時十九分散会

 

 




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10号 平成161111日(木曜日) style='letter-spacing:.1pt'>

平成十六年十一月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成十六年十一月十一日

    午後一時開議

 第六 児童福祉法の一部を改正する法律案(第百五十九回国会、内閣提出)

    ―――――――――――――

 日程第六 児童福祉法の一部を改正する法律案(第百五十九回国会、内閣提出)

○議長(河野洋平君) 日程第六、児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。

    ―――――――――――――

 児童福祉法の一部を改正する法律案及び同報告書

    ―――――――――――――

○鴨下一郎君 ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、次世代育成支援対策を推進するため、児童虐待等の問題に適切に対応できるよう児童相談に関する体制の充実等を図るもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、児童相談に関する市町村、都道府県及び児童相談所の業務に関する規定を整備すること、

 第二に、乳児院及び児童養護施設の入所児童の年齢要件を見直すとともに、里親の権限の明確化を図ること、

 第三に、家庭裁判所の承認を得て行う児童福祉施設への入所措置を有期限化するとともに、児童相談所による保護者に対する指導措置について家庭裁判所が関与する仕組みを導入すること、

 第四に、慢性疾患にかかっている児童に対する医療の給付を創設すること

等であります。

 本案は、第百五十九回国会に提出され、去る三月三十一日本委員会に付託されましたが、継続審査となっていたものであります。

 今国会におきまして、去る十一月二日尾辻厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、五日質疑に入り、昨十日に質疑を終了いたしました。

 質疑終了後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合より、本法案による事務を適切に行うための市町村における体制整備等の措置、児童福祉施設への入所措置の更新について、当該児童の保護者に対する指導措置の効果等に照らして判断する旨を加えること及び施行期日についての修正案が、日本共産党から、慢性疾患にかかっている児童に対する医療給付の対象者等に関する修正案がそれぞれ提出され、日本共産党提出の修正案について内閣の意見を聴取いたしました。

 次いで、原案及び両修正案について採決を行い、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第でございます。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

○議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 

    午後一時十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣   麻生 太郎君

       文部科学大臣 中山 成彬君

       厚生労働大臣 尾辻 秀久君

       経済産業大臣 中川 昭一君

       国務大臣   棚橋 泰文君