研究の最新情報

【第17回】松本慎一先生によるバイオ人工膵島移植の進捗状況

日本でのバイオ人工膵島移植実現に向けて、その進捗状況を、この分野の第一人者である松本慎一先生(日本初の膵島移植医で医療用ブタ開発のために自ら法人まで立ち上げられました)より報告していただいています。

第17回は、国産酵素によるブタ膵島移植の成果と、医療用ブタの安定供給に向けた進展についてです
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バイオ人工膵島移植の進捗(第17回)

前回お伝えした前臨床試験(人で試験を始める前に動物で安全性・有効性を調べる試験)の準備の一環として、国立健康危機管理研究機構(JIHS)を訪問し、ブタを用いた膵島分離の実験に参加しました。

今回は、通常の(医療用グレードではない)生後19日齢のブタ4頭から膵臓を摘出しました。ブタの衛生度を確認するための血液や脾臓の採取も同時に行いました。

膵島分離には、国内メーカーのコラゲナーゼとサーモライシンという酵素を用いました。膵島分離において酵素は非常に重要なのですが、今までは海外産のものしか使われていませんでした。そのため、過去においては、海外産の酵素が使えず、臨床(患者に治療を行うこと)の膵島移植を長期にわたり中止したこともあります。安定したバイオ人工膵島移植のために、国産の酵素への移行は重要なテーマです。今回は、初めて国産の酵素を利用しましたが、これまで使用してきた海外産の酵素とほぼ同じ条件で分離を行うことができました。

その結果、海外産の酵素を使った時と比べて遜色のない膵島を得ることができました。

この膵島などを使った移植実験の結果について、JIHSの霜田雅之先生らと進捗報告会を行いました。分離したブタ膵島をカプセルに入れて糖尿病のマウスに移植し、血糖値の変化を調べています。国産の酵素で初めて分離した膵島を移植したマウスでは、移植直後から血糖値が速やかに下がり、長期にわたりその状態が続いています。国内メーカーの酵素で分離した膵島が、マウスの体内でしっかり働いていることが確認できました。

さらに、摂南大学農学部の井上亮先生を訪問し、医療用ブタの衛生度を確認するための検査体制について意見交換を行いました。井上先生からは、検査を担う研究所をご紹介いただきました。今後、検査の実際や規制当局への対応、検査の委託について相談を進めていく予定です。

事業化に向けた動きもご報告します。第13回でご報告したKSAC-GAPファンドについて、2026年4月から2028年3月までのステップ2(概念検証・スタートアップ組成)の助成も獲得することができました。

医療用ブタの作成は、衛生度の高いブタをもとに、母ブタの豚舎の横に仔豚の飼育・手術施設を構築して進めてきました。2025年12月にはこの医療用ブタから膵臓を摘出して膵島を分離し、2026年1月には糖尿病マウスへの移植まで行っています。現在、畜産関係者 との連携をさらに深め、安全で価格競争力のある医療用ブタを量産し、膵島移植などに必要な臓器・組織を医療機関へ供給する事業化に向けた協議を進めています。

医療用ブタを臨床で使うためには、膵島をたくさん安定して得る技術と、ブタの品質を保証する検査体制の両方が欠かせません。一つ一つ着実に準備を進めてまいります。

引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。

神戸大学大学院医学研究科 客員教授
一般社団法人医療用ブタ開発機構代表理事
松本 慎一

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▼第17回報告記事はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/6878/

▼霜田先生からの最新報告はこちら
https://press-iddm.net/diabetes/iddm/6871/

これからも、希望する全ての患者がバイオ人工膵島移植を受けられる日を実現するために、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

▼「移植サポーター」1型糖尿病“根治”に向けてご支援ください
https://readyfor.jp/projects/japanprotocol2025
▼バイオ人工膵島移植 -膵島補充療法- ジャパンプロトコール基金をご支援ください
https://japan-iddm.net/japanprotocol2025/

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